「なんでうちの子は落ち着かないの?」と悩んだときに
朝ごはんの途中で立ち上がる。
絵本の読み聞かせが始まっても2分でどこかへ行く。
公園ではずっと走りっぱなしで、急に「もう帰る!」と言い出す。
さらに園から「座っていられなくて…」と報告されると、親としても不安になりますよね。
作業療法士として、そして1人の親としても、 「どうすれば落ち着くんだろう」「このままで大丈夫?」と悩んだ経験があります。
でも、「じっとできない=わがまま」ではありません。
実は、“体や気持ちを整える力”がまだ育っていないだけかもしれません。
今回は、外遊びを通して「整える力=自己調整力」を育てるヒントをお伝えします。
「調整力(自己調整力)」ってなに?
ここでいう「調整力」とは、
自分の体・感覚・気持ちをうまくコントロールして、落ち着いたり切り替えたりできる力
のこと。
- バランスを保つ
- 興奮をおさえる
- 「やめる」「待つ」といった行動を選べる
この力がまだ未熟だと、じっとしていること自体が難しく感じられるのです。
作業療法士が見てきた「落ち着かない子」の背景
- 感覚刺激への過敏・鈍感さ(特に前庭覚・固有覚)
- バランス感覚や姿勢保持の未発達
- 注意・感情のコントロールがまだ育っていない
- 緊張や不安が“動き”として出ている
「静かにして!」ではなく、「どう落ち着くか」を経験することが大切です。
外遊びが“整える力”を育てる理由
- 全身を使って刺激を受け、脳と身体をリセットできる
- 五感を通して感覚を調整しやすくなる(風・音・触覚)
- 思いきり動く→止まる、の練習が自然とできる
- やりとりを通じて“気持ちの切り替え”も経験できる
調整力を育てる外遊び5選(作業療法士パパおすすめ)
1.坂道あそび(登る・下る)
- バランス感覚・足腰の使い方を育てる
- 上下の動きが前庭覚に良い刺激になる
育つ力: 姿勢保持・重力への適応・バランスの安定感
2.ブランコ・ターザンロープ・回転系遊具
- ゆらゆら・くるくる→前庭覚を刺激して落ち着きやすくなる
- 自分でコントロールする動きが“止まる感覚”の練習にも
育つ力: 感覚調整・スピード感の予測とコントロール
3.「赤信号ゲーム」「だるまさんが転んだ」
- 動いて→ピタッと止まる遊び
- 衝動を我慢する“抑制力”が自然に育つ
育つ力: 自制心・注意の集中・切り替えスキル
4.砂・水・どろんこあそび
- 触覚刺激をたっぷり感じて、安心感が得られる子も
- 手の感覚から落ち着くタイプの子におすすめ
育つ力: 感覚統合・情緒の安定・安心感
5.親子でスキンシップ運動
- 抱っこジャンプ・バスタオルゆらゆら・ゆっくり歩きごっこ
- 安心感+運動刺激で“心と体が整う時間”に
育つ力: 愛着・感覚の調整・心身の一体感
声かけの工夫|“静かにして”より、“こうすると落ち着くよ”
子ども:「わーっ!キャー!」 親:「よし、パパと一緒に深呼吸してみようか」
子ども:「まだ走りたい!」 親:「じゃあ最後に“赤信号ストップゲーム”してから帰ろう」
子どもが“落ち着き方”を覚えるには、具体的な行動や遊びの中で体験することが大切です。
おわりに|外遊びは“整える場”にもなる
「じっとしていられない」ことは、親としても不安になります。
でも、それはまだ“落ち着く方法”を知らないだけかもしれません。
外遊びは、思い切り動いて発散するだけでなく、
「止まる」「切り替える」「整える」 経験ができる、最高の環境です。
子どもは毎日の遊びの中で、「自分を整える芽」を育てていきます。
親子でその時間を楽しみながら、小さな変化を見守っていきましょう。
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