「そんなつもりじゃなかったのに…」が増えてきたら
- お友達の肩を押したら転ばせてしまった
- 絵を描くと紙が破れるほど筆圧が強い
- ブロックが壊れるくらい力を込めてしまう
そんな「力の加減ができない」子どもの様子に、ハラハラしたことはありませんか?
でも、
それは“わざと”ではなく、「感覚」と「動き」がまだうまくつながっていないだけかもしれません。
この記事では、作業療法士パパの視点から「力加減が苦手な子」に対して、外遊びを通じてできる支援を紹介します。
力加減が苦手な背景には“固有覚”の未発達が関係していることも
「固有覚(こゆうかく)」とは、体の関節や筋肉から「今、どれくらいの力で動いているか?」を感じ取る感覚です。
- 固有覚が育っていないと、自分の力の強さに気づけない
- 手先や体幹の動きと感覚が一致しにくい
- 「やりすぎた」「もう少し弱く」がわかりづらい
力加減は「ことば」より「体で感じて学ぶ」ほうが身につきやすいのです。
外遊びが“力の調節”を学べる環境になる理由
- 全身を使った遊びで「ちょうどいい力」が感覚的にわかる
- 自然物(砂・水・木など)は、強すぎれば壊れたりこぼれたりするフィードバックがある
- 遊びの中で「強くするとどうなるか」「弱くするとどうなるか」を試せる
外遊びには、“フィードバックのある学び”がたくさん詰まっています。
OTパパおすすめ|力加減を育てる外遊び5選
1.水の移し替え遊び(ジョウロ・バケツ・スプーンなど)
- 力を入れすぎると水がこぼれる→自然と調整が身につく
育つ力: 手のコントロール・集中力・フィードバック感覚
2.砂の型抜き&お城づくり
- 優しく押さないと型崩れする→力の加減を試せるチャンス
育つ力: 手先の調整力・予測と感覚の一致・注意深さ
3.ブランコ&鉄棒(ぶら下がり)
- 握る・支える・こぐなど、力を入れる・抜くが体感できる
育つ力: 握力調節・全身の固有覚・動作の安定性
4.お友達との「引っぱりあいっこ」や「バケツリレー」
- やさしく渡す・同じ力で持つ練習ができる
育つ力: 協調動作・相手との力のやりとり・社会性
5.木の枝で“なぞり描き”や“穴掘り”ごっこ
- 力を加減しないと枝が折れる or 地面が荒れる→ちょうどよさを探る
育つ力: 手先の加減・感覚統合・空間認知
声かけ・関わり方の工夫|“失敗”を責めずに“感覚”を一緒に育てよう
- 「強かったね。ちょっとだけやさしくしてみようか」
- 「お水、上手に運べたね!」→成功体験を強調
- 「この枝はちょっと弱いね。ゆっくり使ってみよう」
ポイントは「だめ!」ではなく、「どうしたらうまくいくかな?」と考える視点を持たせること。
まとめ|力加減は“ことば”より“感覚”で育つもの
子どもが力加減を覚えるには、
- 自分の体の力を「感じる」経験
- 「あ、今は強すぎたかも」という失敗の機会
- 「ちょうどいいってこういうことか」という実感
こうした感覚的な学びが欠かせません。
外遊びは、そのすべてを含む“実践の場”です。
親子で楽しく遊びながら、子どもが“自分の力を自分で調整できる”ようになるサポートをしていきましょう。
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