「書くのが苦手そう」「手先が不器用かも」と感じたことはありませんか?
- クレヨンを持ってもすぐに落としてしまう/折ってしまう
- ハサミやお箸がうまく使えない
- ぬりえや工作を嫌がる
- 書くことに対して苦手意識が強い
こんな場面に出くわすと、「このまま小学校で困らないかな…?」と不安になりますよね。
でも大丈夫。これらは“書く準備がまだ整っていない”というサインであることが多いんです。
作業療法士として、現場で多くの子どもたちと関わる中で
「姿勢・手指の力・体の安定」など“書く前の土台”が整えば、ぐんと書くことが楽になる子をたくさん見てきました。
今回は、そんな“書く力の準備”を育てる遊びをご紹介します。
書く前に必要な“3つの土台”とは?
1.手指の分離と協調性
文字を書くには、親指・人差し指・中指で細かく動かす力が必要です。
一方、薬指と小指は安定を保つ役割。
この「動かす指」と「支える指」をうまく分けて使えないと、
- 鉛筆をすぐに落とす
- 筆圧が弱くて薄くなる
- 持ち替えが難しい
…といった“書きにくさ”につながります。
2.手首や肘の安定性
実は、指先だけで字を書くことはできません。
手首や肘が安定しているからこそ、指先が自由に動かせるのです。
手首が不安定だと、力が逃げてしまい、狙った線が引きづらくなります。
3.体幹・姿勢保持の力
姿勢が崩れてしまうと、そもそも机に向かうこと自体がしんどくなります。
「しっかり座る→体を支える→手を使う」という流れが大切。
座ってもフラフラしていたり、椅子に長く座っていられない子は、まずこの“体幹”を整えることが優先です。
家庭でできる手指を育てる遊び5選
1.洗濯ばさみ遊び|つまむ力と指の分離に
洗濯ばさみをつまんで開く→物に挟むという動作は、指の分離や力加減の練習に最適。
- 紙コップに並べて飾りつけ
- 動物に“たてがみ”をつけるようにデコレーション
- 色の指定をして「赤だけにしてみよう」などルールも追加可能
💡 コツ:小さな子には柔らかめの洗濯ばさみを使うとやりやすいです。
2.はさみ遊び|線に沿って動かす力を育てる
「はさみを使う」には、実は高度なスキルが必要です。
- 指をバラバラに動かす「分離」
- 見た線に合わせて動かす「協調性」
- 手首の動きをコントロールする「回内外」
まずは折り紙や広告紙を自由に切るところからスタート。
慣れてきたら:
- 波線やギザギザ線のカット
- 切ったパーツで貼り絵にする
…など「作る楽しさ」にも発展できます。
3.粘土・こねこね遊び|力加減と指先の感覚を育てる
粘土はまさに万能の感覚遊び。
- 丸める、伸ばす、ちぎる、型抜き、押しつぶす
- ごっこ遊び(パン屋さん・おにぎり屋さん)にも展開しやすい
- 道具(ストロー・キャップなど)を使えば手指の使い方も多様に
💡 コツ:力の加減が苦手な子にもおすすめ。力を入れても怒られない=安心感につながります。
4.ひも通し・ビーズ遊び|目と手の協調を育てる
「見る」→「狙って手を動かす」=目と手の協調運動を鍛えるには最適な遊び。
- 最初は大きな穴あきスポンジや太いモールから
- 慣れてきたら細いビーズ、毛糸などにステップアップ
- 指先の集中力が必要なので、落ち着きづらい子にも効果あり
💡 完成後の達成感もあるため、「できた!」という自信につながります。
5.お箸・ピンセット遊び|細かくつまむ操作の練習に
鉛筆と同じような指の使い方をするお箸・ピンセットは、“遊びの中で”取り入れるのが効果的。
- 小さなおはじき・スポンジ・ポンポンを容器に移す
- 色や形で仕分け遊びにしてもOK
- 指先で“つまむ力”が育つ
💡 コツ:すべりにくい素材(シリコン製・太めのトング)から始めるのがおすすめ。
遊びのコツ|「完成」より「できたこと」に目を向ける
手先の発達において、もっとも大切なのは「できた!」という小さな成功体験。
- うまくできなくても「やってみたね!」と声をかけてあげる
- 毎日じゃなくてOK、週末の5〜10分でも続ければ変わります
- 親も一緒にやって見せることで安心感UP
💡 「書けるようにする」より、「書くことが怖くない」状態をつくるのが最初の一歩。
まとめ|“書けない”の前に、“書ける手”を育てよう
「書くことが苦手そう…」
その背景には、“まだ準備が整っていないだけ”というケースがたくさんあります。
大切なのは、焦らず、楽しく、遊びの中で自然に手の力を育てていくこと。
小さなステップの積み重ねが、やがて「書けた!」の土台になります。
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