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「なかなか手をつながない子」に外遊びでできること|“安心できる身体感覚”を育てる関わり方

tamutamu

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「手をつなぐのを嫌がる…」と悩んだことはありませんか?

  • 道を歩いていると手をふりほどいて走り出す
  • 手をつなごうとすると泣き出す・固まる
  • 危ないから手をつなぎたいのに、どうしても嫌がる

子どもが手をつながないと、外出がとても大変になりますよね。

でも、「手をつなぐのが嫌い」というより、

“手をつなぐ”という感覚自体に、安心できていない状態かもしれません。

この記事では、作業療法士パパの視点から、「手をつなぐこと」を支える感覚の育て方や外遊びでできる工夫をご紹介します。


手をつなげない理由はいろいろ

子どもが手をつなぎたがらないとき、そこにはいくつかの背景が考えられます。

  • 触覚過敏:手のひらの感覚が過敏で、触られるのが不快
  • 固有覚の未発達:自分の体の位置や力加減がうまくつかめない
  • 愛着の形成途中:人とのスキンシップに慣れていない
  • 自分のペースを保ちたい気持ちが強い

「わがまま」や「反抗」ではなく、“まだ準備が整っていない”と捉える視点が大切です。


OTパパおすすめ|手をつなぐ前の“安心感”を育てる外遊び5選

「うちの子、なかなか手をつなげなくて…」
そんなお悩みを抱える方に向けて、作業療法士パパの視点から「手をつなぐ」前に育てておきたい“安心感”をテーマにした外遊びをご紹介します。

手をつなぐという行為は、「触れる」ことへの信頼感や**「相手と一緒に動く」ことへの安心感**がベースになります。
いきなり「つなぎなさい」ではなく、その手前のステップから丁寧に育てていきましょう。


1.「並んで歩くだけ」から始める探検ごっこ

まずは、“一緒にいる”ことそのものを心地よいと感じられる関係づくりから。

  • 手はつながず、同じ方向に歩くだけでもOK
  • 「この道、探検してみようか」など、遊びの延長にする
  • 親は少し先を歩いて、子どもがついてくる感覚を体験できるようにするのも◎

育つ力: 行動の協調/ペースの共有/身体の一体感
→ “横に誰かがいる”という安心感を、無理なく育てるファーストステップ。


2.手をつなぐ代わりに「モノをはさむ」遊び

直接手をつなぐのが苦手な子には、タオルや棒など“モノ”を介することで間接的に関われるようにしてみましょう。

  • タオルの両端を持って一緒に歩く
  • 木の枝やスティックで「二人で探検隊ごっこ」
  • スカーフや縄跳びを使って“協力して引っ張る遊び”もおすすめ

育つ力: 触覚の慣れ/協調運動/手を使う体験の楽しさ
→ 「誰かと一緒にいると楽しい」という感覚を、モノを介して感じ取れるきっかけに。


3.ふれあいリズム遊び(タッチで音をならす・手遊び歌)

“触れること”をネガティブにせず、楽しい音やリズムと結びつける工夫がポイントです。

  • パンッと手を叩いて音を鳴らす
  • 手遊び歌で「トントントンひげじいさん」などテンポよく
  • 笑いながらのふれあいで“触れるって気持ちいい”を体験

育つ力: 触覚への信頼/他者との一体感/感情の共有
→ 触れられること=こわくない、という意識づけに。


4.じゃんけん・手合わせ・手押し相撲あそび

「手を触られるのが苦手」な子にも、ゲーム感覚なら自然と触れ合えることがあります。

  • 「じゃんけんポン」で手の接触を短く軽く経験
  • 「グーとグーで手押し相撲」→力加減を学べる
  • 「パーでパーん!」「合わせてぺったんこ」などテンポよくリズムをつけると楽しくなる

育つ力: 手の感覚調整/力加減の学習/コミュニケーションの入り口
→ 楽しさを通して「手を通じたやりとり」に慣れていくプロセス。


5.「いざという時だけ」の手つなぎ→すぐ離してOK

「普段はつながない。でも“今だけ”はOK」が、信頼関係を築く重要なステップになります。

  • 横断歩道・人が多い場所など、危険場面だけ
  • 声をかけて「今だけちょっとギュッとさせてね」
  • 終わったら「ありがとう、おわりね」とすぐ離す

育つ力: 必要なときに頼れる感覚/信頼関係の積み重ね
→ 「手をつなぐ=強制」ではなく、「必要なときに助けてくれる」という感覚を残せる。


声かけ・関わりの工夫|“つながっても大丈夫”と思える関係に

子どもが「手をつなぐって少し安心かも」と感じられるような、ことばと態度の工夫もとても大切です。

✦ 声かけの例

  • 「ぎゅっとしてくれてありがとう、助かったよ」
  • 「ママの手、あったかいね」→感覚を共有する
  • 「いやだったらすぐやめるから教えてね」→コントロールできる安心感

ポイント:
無理に“つながせる”よりも、「つながっても大丈夫だった」「すぐ離してくれた」という体験が、
子どもの信頼感をそっと積み重ねてくれます。


最後に|“つなげる”ことよりも、“つながっていい”と感じられる関係を

手をつなぐことが目的ではなく、
「この人となら一緒にいて安心できる」という信頼感こそが、すべての土台になります。

子どもによっては、何度も何度も試して、ようやくそっと指先に触れられるようになる子もいます。
それでも、その一歩が、未来のたくさんの「つながり」のきっかけになるかもしれません。

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