「集団行動が苦手」「すぐルールから外れてしまう」そんな不安、ありませんか?
- すぐに自分のやり方で動いてしまう
- 順番が守れない、待てない
- お友達とトラブルが起きやすい
- 指示が通らず、集団の活動に入るまでに時間がかかる
こうした姿を見て、「うちの子、集団生活でやっていけるかな…」と不安になることもありますよね。
でも、これらは“できない”のではなく、練習の経験が少ないだけということがほとんど。
作業療法士として、そして育児中のパパとしても、
「家庭の遊びの中で、社会性の種まきをすることができる」と日々感じています。
「ルールを守る」には、3つの力が必要です
1.話を“聞く”力(聞いて理解する)
ルールや指示を理解するには、注意を向けて、覚えておく力が必要です(ワーキングメモリとも言われます)。
例えば、「サイコロをふって、その数だけ進むよ」というルール。
これをただ聞くだけでなく、「どうするのか」「いつやるのか」を頭に残しておく必要があります。
💡 遊びながら“聞く力”を育てる経験がとても重要です。
2.“順番を待つ”力(抑制と見通し)
「やりたい!」という気持ちを一度止めて“待つ”というのは、小さな子にとっては本当に難しいこと。
でも、「次は自分の番が来る」「終わりがある」と見通しを持てることで、落ち着いて待てるようになります。
📌 ポイントは、“見える順番”“終わりが見える遊び”を取り入れること。
3.負けたり、思い通りにならないことを“受け止める力”
ゲームに負ける、順番が回ってこない、ルール通りに進まない…
こうした経験は、子どもにとって感情が大きく揺れる体験です。
でも、その中で「どう気持ちを落ち着けるか」「どう折り合いをつけるか」を学ぶことができます。
📌 家庭の中で小さな“思い通りにならない”経験を遊びに取り入れるのがコツです。
家庭でできるルールを学べる遊び5選
1.すごろく遊び|順番・数・見通しの練習に
- 「順番にサイコロをふる」「数だけ進む」など、複数のルールを理解する経験
- ゴールが見えているので「終わりがある」「自分の番がくる」がわかりやすい
- 「一回休み」「歌をうたう」などのオリジナルマスを入れると、楽しさ倍増!
💡 絵や色のサイコロにアレンジすれば、数字がわからない年齢でも楽しめます。
2.かるた遊び|聞く→探す→反応する力を育てる
- 読まれた言葉を“聞いて理解し”、瞬時に反応する力を育てる
- 自分の番以外は“待つ”という抑制の練習にもなる
- オノマトペや絵だけのかるたなら、未就学児でも参加しやすい
💡 「お手つきしてもOK」「ゆっくり探していいよ」など柔らかいルールにすると、安心して取り組めます。
3.「〇〇したらカード」遊び|順番・ルールの視覚化
- 「お着替えしたらカードを1枚」「歯みがきしたらカードGET」など、生活の中の行動をゲーム化
- 見通しが弱い子にも“やることが見える化”されて取り組みやすい
- 終わったら褒める、シールを貼るなど“やった感”をしっかり味わえる仕組みに
💡 朝の支度や夜のルーティンをこれで楽しく乗り切る家庭も多いです!
4.ルールのあるごっこ遊び(店員・患者・運転手など)
- 「○○してください」「○○をください」など、定型のやりとりにルールが含まれている
- 医者と患者、店員とお客さんなど“交代する”遊びで自然と順番の感覚が育つ
- 親が「次の人どうぞ」「1人ずつお願いね」と声をかけることで、意識が深まる
💡 ごっこ遊びは“遊びの中で社会性を育てる最高のフィールド”です。
5.ミッション遊び・お手伝い遊び
- 「まずタオルをたたんで→次にテーブルを拭く」など、ルールに沿って順にこなす体験
- 完了後に拍手やご褒美シールで“やり切った感”が持てる
- 「今日はミッションがあるよ!」と声をかけると、やる気スイッチが入る子も!
💡 指示理解、行動の切り替え、達成の成功体験が一度に得られる万能遊び。
遊びのポイント|怒らず、面白く、“体験”を重ねよう
ルールを守れなかった時、思わず「なんで守れないの!」と言いたくなることもあるかもしれません。
でも、大切なのは“怒る”ことより、“体験を重ねる”こと。
- 「いまのルール、もう一度一緒に確認しようね」と優しくリセット
- 「どうしてそうしちゃったのかな?」と、本人の気持ちに寄り添ってみる
- 「ちゃんと待てたね」「お話、最後まで聞けたね!」と、“できた”を見つけて言葉にして伝える
💡 子どもは「できた!」という経験の中で、自信とルール理解を育てていきます。
まとめ|ルールを“守らせる”より、“育てる”関わりを
子どもがルールを守れないとき、「ちゃんとしなきゃ!」と思ってしまうのは親として当然のこと。
でも実は、ルールって教えるものじゃなくて、“遊びの中で自然に育っていくもの”なんです。
まずは今日できそうな遊びを1つだけ試してみてください。
ルールに出会い、試し、失敗して、また挑戦する――その積み重ねが、未来の社会性を育てていきます。
あわせて読みたい
■発達ゆっくり・グレーかもと思ったときに家庭でできること
→ 将来が不安なあなたへ|発達グレーの子に使える支援制度まとめ
■外遊びで“関わり”と“ルール”を育てるヒント
→ 外遊び×発達支援まとめ