「ことばが遅い?」と感じたときに|外遊びで育てるコミュニケーション力

tamutamu

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「うちの子、まだ話さない…」と不安になる前に

――ことばの前に育てたい“心の準備”


ことばが出ない、伝わらない――不安になる気持ち、よくわかります

  • 周りの子はペラペラ話しているのに、うちの子はまだ単語だけ
  • 声は出ているけど、こちらを見てくれない。返事がない
  • 「伝えたい」という気持ちが、あまり見えてこない気がする…

そんな場面が続くと、

悩める人
悩める人

「うちの子、ことばの発達が遅れているのかな?」
「どこかおかしいのかな…」

と、心配になりますよね。

でも、ことばの発達には、「話す」以前に育てたい大切な土台があります。


ことばの前に必要なのは、「伝えたい」という気持ち

ことばは、口から出てくる音ではありますが、
その根っこにあるのは、“伝えたい気持ち”です。

  • 「これ見て!」と誰かに伝えたい
  • 「もう1回やってほしい」と思う
  • 「楽しい!」「うれしい!」という気持ちを共有したい

こうした“心の動き”があってこそ、ことばは自然と引き出されていきます。


「話す」より前に、「伝える準備」ができているか

ことばがなかなか出ないとき、
「発音ができない」「語彙が少ない」といった表面的なことばかりに目が向きがちですが、
実は、以下のような前段階の力が育っているかどうかが、とても大切です。

ことばの前に必要な力具体的な行動の例
人と関わろうとする気持ち親の目を見てニコッとする、手を引っ張って誘う
共同注意(同じものに注目)一緒に空を見上げる、虫を指差して教える
まねっこする力(模倣)音まね・しぐさのまねを楽しむ
感情を表現する力嬉しそうな声・嫌がるジェスチャーなど

これらはすべて、「ことばの土台」。
そしてこの土台こそ、外遊びの中でこそ育ちやすいのです。


外遊びが「ことばの土台」を育てる理由

🟢 五感が自然に刺激され、気持ちが動きやすい
→ 楽しい!驚いた!怖い!など、感情が揺れる体験が多い

🟢 やりとりがシンプルで、言葉がなくても通じやすい
→ 表情・ジェスチャー・声のトーンでコミュニケーションが成立する場面がたくさん

🟢 身体を動かすことで、脳の言語エリアも活性化
→ 感覚と運動の統合は、ことばの発達に直結する土台です

🟢 “伝えたい”動機が生まれやすい
→ 「もう1回して!」「こっち見て!」が自然と引き出される


作業療法士パパが実践した

ことばを育てる外遊びアイデア5選


1.「いないいないばあ」×すべり台

親が先に滑って、顔を出しながら「いないいない…ばあ!」
「今度は○○ちゃんの番かな?」と、次の動きを促す

🔹 育つ力: 予測と反応・“呼ばれてうれしい”感覚・やりとりのきっかけ
🔸 ポイント: 「ばあっ」のタイミングで子どもが笑う → これは立派な“反応”です!


2.「よーいどん!」のリズム遊び

短くて覚えやすい言葉+動きのペア
「どん!」の合図でスタート → 真似がしやすく、言葉のリズムが体感できる

🔹 育つ力: 音と動きの結びつき・タイミングを合わせる力・模倣の練習
🔸 ポイント: 「もう1回!」が出たら、ことばが出る準備ができてきている証拠


3.「どうぞ」あそび(石や葉っぱを手渡し)

「はい、どうぞ」→ 受け取って「ありがとう」
言葉がなくても目を見て手渡すだけで“やりとり”が生まれる

🔹 育つ力: 共同注意・相手への関心・非言語的コミュニケーション
🔸 ポイント: 笑顔やアイコンタクトも立派な会話の一歩


4.かくれんぼごっこ(見つける&見つけられる)

「どこいったかな~?」→ 「みーつけた!」の瞬間に感情が爆発!

🔹 育つ力: 注目の共有・自分が“見てもらえた”という安心感・リアクションの喜び
🔸 ポイント: 親の「見つけた!」が感情を伴うことで、ことばが心に残りやすくなる


5.シャボン玉/風車あそび

「ふーってしてごらん」→ できた! → 「もう一回して!」
「もっと!」「ちょうだい!」など、伝えたい動機が自然に生まれる

🔹 育つ力: 要求表現・発音練習(息を使う)・自己表現の芽生え
🔸 ポイント: 楽しさの中で“伝える練習”ができるのが最大の魅力


声かけのポイント|「なんて言うの?」ではなく、“ことばのモデル”を見せる

❌「ありがとうは?」
❌「言わないとわからないよ」

という促しよりも、

✅「パパは“どうぞ〜”って言ってみたよ」
✅「ふーってしたら“シャボン玉とんだ!”って言いたくなるね〜」

という、“見せる”声かけの方が、子どもに届きやすいのです。


おわりに|「ことば」は一人では育たない

子どもは、“ことばを教えられて覚える”のではなく、
“人と関わる中で、ことばにしたくなる”ことで育っていきます。

だからこそ、焦らず――
今は「話さない」のではなく、「ことばの芽を育てている途中」

外遊びは、

  • 気持ちが動く
  • 人とのやりとりが自然に生まれる
    そんな“ことばの栄養”にあふれた場所です。

親が見守ってくれている。
その安心感が、言葉の世界を広げる一歩になります。

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