「怒ってるの?」「楽しいの?」が伝わりにくい子、いませんか?
- 感情を言葉にせず、黙ってしまう
- 表情が変わりづらく、周囲が読み取りにくい
- 嫌なことがあっても、泣く・逃げるなどでしか表現できない
「もっと気持ちを出してくれたら…」
「我慢ばかりじゃないか心配…」
そんな子には、“ことばでなくても伝わる”経験をたくさん積んでほしいのです。
この記事では、作業療法士パパの視点から、外遊びを通じて“気持ちの表現”を育てる関わり方をご紹介します。
気持ちを伝えるのが苦手な子に共通すること
- 自分の感情に気づく経験が少ない
- 気持ちを伝えたときに“どうなるか”の予測が持てない
- 伝えるより、我慢や回避の方が安心になっている
感情は“感じる力”→“気づく力”→“表す力”と段階を踏んで育っていきます。
外遊びが“感情表現の練習場”になる理由
- 「楽しい・びっくり・悔しい」などの感情が自然に動く
- 身体の動き・表情・声が出やすくなる
- 言葉がなくても、周囲と“気持ちのやりとり”が発生する
外遊びは、“ことば”以外の表現が堂々とできる貴重な場です。
OTパパおすすめ|気持ちを表す力を育てる外遊び5選
「うれしい?」「楽しかった?」と聞いても、
首をかしげるだけだったり、無言だったり…そんなことありませんか?
言葉で気持ちを表すのは、実は高度なスキルです。
特に感情を外に出すのが苦手な子にとっては、「感じる」「出す」「伝える」ことそのものがチャレンジ。
でも、外遊びはそんな子たちにとって、気持ちを自然に引き出してくれるチャンスの宝庫です。
今回は作業療法士パパの視点で、「気持ちを表す力」を育てる外遊び5選をご紹介します。
1.“感情が動く瞬間”の多い遊び(坂道転がり・かけっこなど)
感情を出しづらい子にも、思わず「キャー!」と声が出る瞬間があります。
その多くが、体を大きく動かすダイナミックな遊びの中にあります。
たとえば:
- 坂道を転がる
- パパと全力でかけっこする
- 高いところからジャンプする
こうした遊びは、体の刺激と気持ちの興奮が連動しやすく、自然と感情が表に出やすいんです。
言葉が出なくても、「顔」「動き」「声のトーン」など、非言語的な感情の表出が引き出されていきます。
育つ力: 身体と感情の連動・表出の自信
2.「できた!うれしい!」が伝わりやすい遊び(平均台・ジャンプなど)
「できた!」という達成感は、一番ストレートな“感情の表現”のチャンスです。
たとえば:
- ちょっと高い段差からジャンプできた
- 一人で平均台を渡り切れた
- 自分の力でやりきった瞬間
その時の「わー!」「見てー!」という声や表情は、気持ちが湧き上がった証拠。
そして、そんな瞬間に大人が一緒に喜んであげることで、「伝えたい!」という気持ちが育ちます。
育つ力: 自己肯定感・共感の土台・ポジティブな表現
3.まねっこ遊び・ごっこ遊びで“感情の模倣”を体験
言葉で表現するのが難しい子には、模倣(まね)を通して感情を育てる遊びがおすすめです。
ごっこ遊びや、他の子の「わーい」「怒ったぞー」などの言葉をまねすることで、
- 「あ、これは“楽しい”ってことなんだ」
- 「こういう時に“いや”って言っていいんだ」
といった感情の理解と使い方を体で覚えていきます。
遊びの中で表情や口調をまねる体験は、非言語理解と感情の言語化の基礎になっていきます。
育つ力: 非言語理解・感情の言語化・相互模倣
4.遊びのあとに“どんな気持ちだった?”を聞く習慣
遊び終わったあと、「今日はどんな気持ちだった?」と聞くこと自体が学びの時間になります。
「どの遊びがいちばん楽しかった?」
「ちょっと怖かったところ、あった?」
と、気持ちをラベリング(名づけ)する練習を少しずつ積んでいくことで、自分の中の感情を整理する力が育っていきます。
選択肢を用意したり、「うんうん、あの時怖かったね」と代弁してあげると、“言っていいんだ”という安心感も広がっていきます。
育つ力: 感情のラベリング・振り返り・語彙の増加
5.「伝えてくれてありがとう」が伝わる場づくり
子どもが感情を表現できた時、それがたとえ一言でも、表情でも、小さなうなずきでも――
その“表現”を大切に受け取ることが最も大切です。
「ことばにしなくても、今の顔で伝わったよ」
「教えてくれてうれしいな」
と、表現に“反応”が返ってくる経験が、次の「また伝えたい」につながります。
育つ力: 安心感・自己表現の土台・他者との信頼感
声かけ・関わり方の工夫|“感じた”だけでも素晴らしい
気持ちをうまく言葉にできない子に対しては、
「出すこと」そのものに価値を置いた声かけが大切です。
- 「楽しかった?」より → 「楽しそうに見えたよ」
- 「言葉じゃなくても、顔でわかったよ」
- 「気持ちを出してくれてありがとう」
“正確に言える”より、“出せたこと”を大切にしましょう。
大人がそういう姿勢でいることが、子どもにとっての「出してもいいんだ」という安心感につながっていきます。
まとめ|ことば以外の表現も、子どもの“こころの声”
気持ちを伝えるのが苦手な子には、
無理に言わせるのではなく、
「出していい」「伝えてよかった」が積み重なる場面を大切に。
- 体で感じる
- 表情で伝える
- ことばじゃない表現が受け取られる
そんな体験を外遊びで重ねていくことで、やがて“誰かとつながる力”につながっていきます。
外遊びは、“こころを出す練習”がたっぷりできる場所。
その一歩を見守り、支えていきましょう。