「どうして怒ってるの?」「言葉にしてくれたらいいのに…」と悩んでいませんか?
- 癇癪になるまで、気持ちを伝えられない
- 「いや!」「やだ!」ばかりで、何が嫌なのかがわからない
- お友達とのトラブルで「なんで叩いたの?」と聞いても黙っている
- 「うれしい」や「たのしい」は言えるのに、「悲しい」「さみしい」は言えない
気持ちの表現がうまくいかないと、親子のやりとりにもすれ違いが増えてしまいますよね。
でもそれは、「伝えたくない」のではなく、“伝え方がわからない・ことばが見つからない”という状態かもしれません。
作業療法士としても、「気持ちを“言葉にする力”は、遊びや関わりの中で自然と育つ」と感じています。
今回は、感情のことばを育てるために家庭でできる5つの遊びをご紹介します。
感情のことばが育ちにくい理由とは?
- 自分の内側の感情に気づく“気づき力”が育ちきっていない
- 「こういう気持ちのときに、こう表現する」が経験として少ない
- 周囲が代弁しすぎて、本人が“ことばで伝える機会”を持てていない
- 感情に名前がつかないから、出すこともできない
→ だからこそ、「教える」より「一緒に遊ぶ・体験する」のが近道です。
家庭でできる“気持ちを伝える”遊び5選
1.表情カード遊び|顔の変化と言葉をつなげる
- 怒った顔・泣いた顔・笑った顔などのカードを見て「どんな気持ちかな?」と問いかける
- 「こういうとき、こういう顔になるんだね」と“感情=表情”をリンクさせる
- 慣れてきたら「今日はどれに近い気持ち?」と日常の感情確認にも活用できる
→ 表情の認識は、他者理解・共感力にもつながります。
2.ぬいぐるみ劇ごっこ|代弁で気持ちを外に出す
- 「うさぎさんが怒ってるみたい。どうしてかな?」とぬいぐるみを使って感情を表現
- 子ども自身がうまく言えないときも、「ぬいぐるみの口」を使うとスムーズに出ることも
- 「そっか〜、悲しかったんだね」「それは悔しかったよね」と親が言葉を添えることで語彙が広がる
→ 安心できる距離感で、“気持ちを出す練習”になります。
3.感情ジェスチャーゲーム|動きで気持ちを表現する
- 「怒ったポーズ!」「悲しい動き!」などを当てっこするゲーム
- 表情・声・体の動きで“感情を外に出す”経験に
- 正解よりも「その気持ちっぽい!」と反応してあげることで、自信につながる
→ 非言語の表現から、言語化につなげるステップとして有効です。
4.絵本の感情読み解き|主人公の気持ちを一緒に考える
- 読み聞かせの中で「この子、どんな気持ちかな?」と問いかける
- 「もし○○だったら、どんな気持ち?」など想像を促す質問も◎
- 「わかんない」と答えても、「そっか、それでもいいんだよ」と受け止めるのが大切
→ 自分以外の気持ちを考える練習は、対人スキルにもつながります。
5.「○○だったから○○なんだ」ゲーム|気持ちの理由を言葉にする
- 「おやつ食べられなかったから、悲しかった」など、因果をつなげて気持ちを伝える練習
- 最初は親が例を出して、「○○だったら、どう思う?」と促してもOK
- 「○○だったけど、○○できてうれしかった」など、気持ちの切り替えにもつながる
→ 「気持ちが湧いた→言葉にした→伝わった」の体験を積み重ねることで、自信がついていきます。
声かけのポイント|否定せず、言葉を一緒に探す姿勢
- 「そんなこと言っちゃダメ!」ではなく、「そう思ったんだね」とまず受け止める
- 「なんで怒ってるの?」より、「びっくりしちゃったのかな?」「悲しかったのかな?」と“選択肢”を出す
- 気持ちが強く出たあとに、「○○って言えば伝わるよ」と“ことばの置き換え”を提案する
→ 親が「通訳」になってあげることで、少しずつ“ことばで伝える回路”が育ちます。
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気持ちを伝える力は、教えるものではなく“育つ力”です
子どもが「気持ちを出すことを怖がらない」ように、
親がまず「どんな気持ちもOKだよ」と伝えてあげることが、何よりの支援です。
伝えた → 通じた → ほっとした → また伝えたくなる。
この安心のサイクルが、ことばと心の成長につながっていきます。