「気持ちの切り替えが苦手な子」に外遊びでできること|“終わり”と“安心”をつなげる環境づくり

tamutamu

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「帰るよ」で毎回ぐずる…その背景にある“心の準備不足”

  • 「あと1回!」が何度も続く
  • 帰ろうとすると怒る・泣く・逃げ出す
  • 気持ちを切り替えるまでにすごく時間がかかる

「まだ遊びたいのかな?」「ワガママなの?」と見える行動。
でも、

その裏には“気持ちの整理が間に合っていない”サインが隠れていることもあります。

この記事では、作業療法士パパの視点から、外遊びを通じて“気持ちの切り替え”を練習する関わり方をご紹介します。


切り替えが苦手な子に共通する3つの特徴

  1. 感覚的な楽しさに夢中になりすぎて、止まれない
  2. 「終わり」の見通しが立っておらず、不安になる
  3. “次に何があるか”がわからず、切り替えの動機がない

「終わらせる」のではなく「終わる流れに乗れる」支援が必要です。


外遊びは“区切り”と“再スタート”が体験しやすい場

  • 日常と違って自然に変化が起きる(夕暮れ・お友達が帰るなど)
  • 小さな区切り(遊具の交代・水を汲みに行くなど)が多い
  • 「やめたあとにまたやる」など、やり直しが効く環境

遊びながら「今→終わり→次へ」の流れを学べます。


OTパパおすすめ|切り替えの練習になる外遊び5選

「もっと遊びたい!」「まだ帰りたくない!」
そんな子どもの気持ちに、毎回ヘトヘト…という方も多いのではないでしょうか。

でも実は、切り替えの力は生まれつきではなく、「経験の積み重ね」で少しずつ育っていくもの。
今回は、作業療法士パパの視点から、「外遊びの中で切り替えを練習できる」おすすめの工夫を5つご紹介します。

1.「終わりの合図がある」遊び(タイマー・砂時計活用)

声で「もうおしまいだよ」と伝えても、なかなか聞き入れてくれない…。
そんな時には、視覚や聴覚でわかる“終わりのサイン”を使ってみましょう。

例えば、砂時計・キッチンタイマー・スマホのアラームなどが便利。
「ピピッとなったらおしまいだよ」と事前に伝え、アラームが鳴ったら遊びを終える。こうした体験を積むことで、“終わり”が怖いものではなく、自然な流れであることを体感できます。

特に視覚的な刺激(砂が落ちきる様子)や音の変化は、発達がゆっくりな子にも伝わりやすい手段
遊びに夢中になっている時でも、「そろそろ終わりだな」という見通しが立つと、切り替えやすくなります。

育つ力: 見通し・納得感・自己調整力


2.「小さな区切り」を挟む遊び(砂遊び→おやつ→再開)

遊びの途中で一旦やめる、そしてまた戻る。
この「中断と再開」を体験できる流れは、“完全に終わる”ことへの抵抗感を和らげる練習になります。

例えば、砂場で遊んでいたら「ちょっとおやつ食べようか」と声をかけて、一度おにぎりタイムを挟む。そして「もう一回あそぼっか」と戻る。
このように遊びに“小さな区切り”を作ることで、「一度やめても安心して戻れるんだ」と感じられるようになります。

「終わったら終わり」という強い思い込みがある子にとっては、こうした経験が柔軟性や安心感の土台になります。

育つ力: 中断の許容・柔軟性・安心感の形成


3.“おしまいの儀式”をつくる(バイバイのダンス・写真撮影など)

「まだ遊びたい!」と泣いてしまう前に、“楽しく終われる”ルーチンを用意しておくのもひとつの手。

たとえば、帰る前に「お砂にバイバイしてダンスしよう!」とか、「今日の思い出をパシャリ」と写真を撮るなど、終わりの時間に“楽しみ”を作ってしまうのです。

繰り返していくと、この行動自体が「おしまいの合図」になっていきます。
子どもにとっても「遊びの終わり=イヤなもの」から、「いつもの楽しいルーチン」へと印象が変わっていくでしょう。

特に、ルール化や儀式化を好むタイプの子にとっては、切り替えの支えになる強力なアイデアです。

育つ力: 習慣化・儀式化による安心・自律の一歩


4.「帰ってからの楽しみ」を共有する

切り替えが難しい子にとって、「終わること」=「楽しいことの終わり」になりがちです。
そんな時は、次の楽しみをセットで示すと、気持ちの切り替えがスムーズになります。

「帰ったら一緒にゼリー食べようか」
「おうち帰ったらパパに写真見せようね」
こんな風に、“次の楽しさ”を明るく伝えることがポイント。

子どもは未来の出来事をイメージする力がまだ発展途上なので、大人が一緒にワクワクを作ってあげることで、“終わること”への不安がグッと減るのです。

育つ力: 予測力・意欲の切り替え・ポジティブな視点


5.遊びの後に「振り返る時間」を持つ

「今日はいっぱい走ったね」「トンネルもくぐったね!」
そんな風に遊んだことを一緒に振り返る時間を持つと、子ども自身が「遊びが終わった」と整理しやすくなります。

遊びの終わりが“ぼやけてしまう”と、いつまでも遊びモードが抜けず、次の行動への切り替えが難しくなりがち。
でも、ママ・パパと一緒に「終わったことを確認する時間」があると、心の中でも一区切りがつきやすくなるんです。

特に、「終わった=がんばったね!」「楽しかったね!」という前向きなフィードバックをもらえると、満足感も育まれやすくなります。

育つ力: メタ認知・感情の整理・満足感


まとめ|“終わり”は育てられる力です

切り替えが苦手な子にとって、「遊びの終わり」はとても大きな壁。
でも、日々の外遊びの中に少しだけ工夫を取り入れるだけで、“終わること”もポジティブな体験に変えていくことができます。

  • 見える終わりをつくる
  • 小さな区切りを挟む
  • おしまいの儀式を決める
  • 帰宅後の楽しみをセットにする
  • 遊びの振り返りを一緒にする

これらの工夫は、特別な道具や知識がなくても、今日から試せるものばかりです。
ぜひ、お子さんとの外遊びに取り入れて、毎日の“切り替え”に少しずつ慣れていける環境を整えてあげてくださいね。


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