
はじめに
子どもがなかなか自分で着替えられない。
ボタンがうまく留められない、服を前後反対に着てしまう、途中でイライラして投げ出してしまう…。
こうした日常の「着替え」に関する悩みは、育児中のご家庭でとてもよく聞くものです。
我が家でも、朝の忙しい時間にうまく進まない「着替え」に、何度もため息をついた経験があります。
この記事では、作業療法士としての視点と、子育て中のパパとしての実感をもとに、子どもの着替えの困難さにどう向き合い、どんなサポートができるのかを詳しくご紹介します。
こんな人におすすめです
- 着替えが苦手な子どもにどう接すればよいか悩んでいる方
- 発達に不安がある・指摘を受けたお子さんのいるご家庭
- 作業療法的な視点から日常の育児を学びたい方
着替えが「苦手」に見える子どもの背景
「この子はやる気がない」「甘えてるだけ」と思ってしまいがちですが、実は着替えにはさまざまな力が必要です。
着替えに必要なスキル
- 指先の巧緻性:ボタンやチャックをつまんで操作する力
- 姿勢保持力:座ってバランスを取りながら手を動かす力
- 空間認知:前後・上下の理解と、服の向きの判断
- 記憶・段取り力:何を先にやるか、手順を思い出して実行する力
- 感覚の特性:タグや素材の刺激への過敏さなど
これらのどれかが発達の途中であれば、着替えの一連の流れがスムーズにいかないのは自然なことです。
作業療法士として伝えたい「家庭でできる工夫」

ここでは、作業療法的な視点から、ご家庭で今日から取り入れられるサポート方法をご紹介します。
1. 「成功体験」を小さく積み上げる
まずは子どもが「できた!」と感じられる体験を意図的に作ることが大切です。
たとえば…
- パジャマのズボンだけは自分で履く
- 袖を通すところまで大人が手伝い、最後は自分で引っ張る
といった部分的な達成を積み重ねていきましょう。段階的な「できた」が自信につながります。
2. 朝の時間を“訓練”にしない
忙しい朝にすべて自分でやらせようとすると、親子ともにストレスが大きくなります。
あえて、時間に余裕のある夕方や休日の着替えを練習タイムにして、朝は「できる範囲でOK」にするのも有効です。
3. 環境設定を整える
- 脱いだ服はカゴに入れる
- 明日着る服は前日に用意
- トップスとボトムスを順番に並べて置く
視覚的にわかりやすくすることで、段取りが組みやすくなります。
おすすめのグッズやアイデア
ランドマーク付きの服
前後がわかりやすいマーク(例:キャラクターが前面にあるTシャツ)は、子どもにとって大きな助けになります。
ボタン練習に最適な「トレーニング玩具」
指先の力が未熟な子には、ボタンやファスナーを模したおもちゃや「できるかなブック」のような教材が効果的です。
背中を押す一言:
「遊びながら練習できるから、怒らずに自然と力がつきました」という声も。親子の関係もラクになりますよ。
着替えがうまくできないことで困っていたわが家のケース
わが家の子も、3歳ごろまではズボンが前後逆だったり、ボタンに時間がかかって登園が遅れそうになる日がたくさんありました。
「自分でやりたい!」という気持ちはあるのに、うまくいかない。
そんな時、「今日はシャツだけ自分でやろう!」と役割を明確にしたことで、ぐんと落ち着いたのを覚えています。
失敗を叱らず、毎日同じ流れを繰り返すことで、少しずつ自立が進んでいきました。
おすすめグッズの比較表
商品名 | 特徴 | 向いている子 | 価格帯 | メリット |
---|---|---|---|---|
ボタン練習ブック | 指先の練習に特化 | 手先が不器用な子 | 1,000円前後 | 持ち運びできる |
着替え練習ぬいぐるみ | 着脱の流れを学べる | 模倣が得意な子 | 3,000円前後 | 楽しく取り組める |
ランドマーク付き服 | 前後がすぐわかる | 向きで混乱しやすい子 | 1,500〜2,000円 | 毎日のストレス軽減 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 着替えの練習は何歳から始めればいい?
A. 発達に個人差がありますが、2歳前後から「自分でやりたい!」という意欲が出てくる子が多いです。完璧にできなくても「やろうとする」姿を大切に見守ることがポイントです。
Q2. できないと怒ってしまいそうになる…
A. 親のストレスがたまりやすい場面ですが、着替えは複数の発達段階が関係しています。できない原因を「怠けている」と思わず、部分的な成功を一緒に喜ぶ視点を持ちましょう。
Q3. 着替えが遅い=発達に問題あり?
A. 一概には言えません。ただし、3歳を過ぎても「毎回パニックになる」「まったく興味を示さない」などの様子がある場合は、一度専門職に相談してみるのも一つの手です。
年齢別 着替えの発達目安とサポートのポイント
年齢 | できることの目安 | よくあるつまずき | サポートのコツ |
---|---|---|---|
1〜2歳 | 袖に手を通す、ズボンに足を入れる | 向きがわからない、途中で嫌になる | 一緒に声かけしながら進める |
2〜3歳 | シャツを脱ぐ、ズボンを一人で履く | ボタンや裏表の混乱 | 服を置く向き・順番を工夫する |
3〜4歳 | 着脱の流れが自分でできる | 細かい操作に時間がかかる | 焦らず待つ、時間に余裕をもつ |
4〜5歳 | ボタンを留める、服の種類で調整できる | 気分でやらなくなることも | 気持ちを受け止めながら促す |
着替えは「生活の自立」への第一歩

着替えはただの動作ではなく、生活の中で「自分でできた」を積み重ねる重要なチャンスです。
多少時間がかかっても任せてみることが、将来的な自立支援につながります。
感覚に特性がある子への着替えサポート
- タグのない服や柔らかい素材を選ぶ
- 子どもが「これなら着られる」と思える一枚を一緒に探す
- 無理に着せず、着られた成功体験を積み重ねることが大切
着替えが苦手な子によくある行動とその対応例
- 服を裏返しに着てしまう → 笑って指摘、責めない
- ズボンの左右が合わず転ぶ → 服の置き方から一緒に確認
- 「できない!」と泣く → 部分的な成功を褒めて意欲をつなぐ
まとめ
子どもの着替えがうまくいかないときは、「やる気」や「性格」の問題ではなく、発達の段階や環境の要因が関係していることがほとんどです。
焦らず、ステップを分けて「できた!」の体験を積み重ねることが、将来の自立につながります。
子どもに合わせた工夫で、朝のバタバタがちょっとラクになるかもしれません。
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子どもの「できた」を支えるには、環境・言葉かけ・ちょっとした知識が役立ちます。
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