「また癇癪…」と落ち込んでしまう前に
- 思い通りにいかないと怒って泣き叫ぶ
- 外で癇癪を起こして、周囲の目が気になる
- 声かけも抱っこも効かず、どうすればいいかわからない
こんな日々が続くと、親としても疲れ果ててしまいますよね。
でも、癇癪は単なる“わがまま”ではありません。
作業療法士の視点から見ると、癇癪は“感覚”と“感情”がうまく整理できていないサインでもあるのです。
この記事では、癇癪が激しい子に対して、外遊びを活用した“整える関わり方”を具体的にご紹介します。
癇癪の背景にある“感覚のズレ”と“出口のなさ”
子どもが癇癪を起こす背景には、次のような要素が複雑に関係しています。
- 感覚刺激の過剰・不足(音・光・触感などのストレス)
- 言葉での表現が追いつかない(伝えられないストレス)
- 気持ちの整理ができないまま“爆発”してしまう
- 環境からの刺激が多すぎて、脳が疲れている状態
癇癪は“悪い行動”ではなく、“出す方法がわからなかった感情”の表れです。
外遊びが“感情の調整力”を育てる理由
- 自然の中で余計な刺激から離れ、感覚が整いやすくなる
- 「走る・投げる・叫ぶ」など、身体を通じた“発散の出口”がある
- 落ち着ける場所(木陰・砂場など)でのクールダウンがしやすい
- 「うまくいった」体験が、自信や情緒の安定につながる
外遊びは、気持ちをリセットし、落ち着きを取り戻す“感覚の休憩所”にもなります。
OTパパがすすめる|癇癪の感情を受け止めやすくする外遊び5選
癇癪(かんしゃく)は、大人が思っている以上にエネルギーのいる感情です。
頭ではなく「体全体で」気持ちをどうにかしようとしている状態とも言えます。
そんなとき、外遊びには“感情を外に出す・整える”ための自然な仕掛けがたくさんあります。ここでは、癇癪の背景にあるエネルギーや不安を受け止めやすくする外遊びの実践例5選をご紹介します。
1.とにかく発散!全力系あそび(かけっこ・坂道ダッシュ・ジャンプ)
癇癪のエネルギーは、言葉で落ち着かせようとしても難しいもの。
まずは全力で動けるあそびを通して“出す”体験が効果的です。
坂道を登ったり、ジャンプを繰り返したり、「もうムリ〜」となるまで走ったり。そうすることで、少しずつ心の中もスッキリしていきます。
とくに体幹を使う動き(登る・跳ぶ)は、脳の深い部分の感情調整にも良い影響があるといわれています。
育つ力:衝動の発散・感情の切り替え・身体の調整力
📌 ポイント:終わった後に「がんばったね!」「力いっぱいだったね」と“出し切ったこと”を肯定してあげると、満足感が高まりやすくなります。
2.繰り返しのある遊び(すべり台・ブランコ・縄跳び)
「またやる!」が止まらない遊びには、癇癪のケアに大切な要素が詰まっています。
繰り返し同じ動きをすることで、安心感・見通し・集中が自然と育ちます。
特にブランコのような“ゆらぎ”のある遊びは、前庭感覚(バランスをとる力)を通じて、心身を落ち着ける効果が期待されます。
育つ力:予測性・安心感・情緒の安定
📌 ポイント:同じ動きを繰り返す中で「さっきより高くこげたね」「10回できたね」と達成感を認識させてあげると、自信にもつながります。
3.水や砂で“無心になれる”感覚遊び
癇癪の直後、言葉も届かず、ただ泣きじゃくるだけ…ということ、ありませんか?
そんなときは、水や砂といった“手を動かしながら静かに整えられる感覚遊び”が助けになります。
水をすくって流す、砂を手でなぞる。無意識でできるような単調な動きが、呼吸を整え、感情を整理するための“間(ま)”になります。
育つ力:感覚の安定・注意の集中・クールダウン効果
📌 ポイント:親がそばで静かに見守るだけでも効果的。必要なら「気持ち落ち着いてきたかな」とそっと声をかけましょう。
4.“できた!”を味わえるあそび(石積み・葉っぱ集め)
癇癪の背景には「できない…」「うまくいかない…」というもどかしさや自信のなさが潜んでいることも多いです。
そんな子にぴったりなのが、小さな成功を重ねられるあそび。
葉っぱを集めたり、小石を並べたり、石を高く積み上げたり…完成すれば、自然と笑顔が戻ってくることもあります。
育つ力:自己肯定感・達成感・情緒の落ち着き
📌 ポイント:「これ全部○○くんがやったんだね!」など、“行動を認める言葉”で自信の芽を育てましょう。
5.親子での“ふれあいあそび”(タッチ遊び・おんぶジャンプ・じゃんけん)
癇癪の裏側には「わかってほしい」「甘えたい」という気持ちがあることも少なくありません。
そんなとき、親とのスキンシップを通じた“ふれあい遊び”が、心の安心の土台になります。
おんぶしてジャンプしたり、手のひらにじゃんけんを描いて遊んだり、「くすぐったい~!」と笑い合ったり…。“ふれあい”があるだけで、心の緊張がほどけていきます。
育つ力:安心感・関係性の信頼・情緒の安定化
📌 ポイント:くすぐり過ぎない、無理に笑わせようとしない、子どもの反応をよく見ながら「楽しかったね」で終わると、良い余韻になります。
声かけ・関わりの工夫|“落ち着く”感覚を一緒に見つけよう
癇癪を「やめさせよう」「コントロールしよう」とするよりも、
「一緒に落ち着く方法を探していこう」という姿勢が、子どもにとっての安心につながります。
具体的な声かけのヒント:
- 「イヤだったね」「悔しかったね」
→ 感情の代弁が気持ちを落ち着ける第一歩に。 - 「お水飲もうか」「おひさまポカポカ気持ちいいね」
→ 五感への意識づけで、“今ここ”に意識を戻す。 - 「あと3回ジャンプしたら帰ろう」
→ 見通しのある終わり方で、切り替えがしやすくなる。
癇癪のあとに、「気持ちが切り替わった」「落ち着けた」という小さな経験を重ねることが、次の癇癪を和らげる土台になります。
まとめ|癇癪は“育ちの途中”で必要な表現かもしれない
癇癪は、子どもの“困った行動”に見えるかもしれません。
でもそれは、
- 「どうしたらいいかわからなかった」
- 「受け止めてほしかった」
- 「出す場所がなかった」
そんな気持ちのサインでもあるのです。
外遊びの中で、少しずつ“落ち着ける体と心”を育てていきましょう。
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