「この子、ちょっとゆっくりかな?」と感じたときに

同じ年の子より言葉が出るのが遅い気がする。
走ったりジャンプしたりする動きが、なんだかぎこちない。
音や服のタグに敏感で、新しい遊びにもなかなか踏み出せない…。
そんな「ちょっと気になるな」「もしかして…?」という感覚。
親として、心がざわっとする瞬間って、ありますよね。
わが子を見つめるそのまなざしに、正解なんてない
私も、作業療法士という仕事をしていながら、
わが子の発達のことで何度も悩みました。
「気のせいかな?」「個性のうちかな?」と迷ったり、
周りの子と比べては落ち込んだり。
“親である自分”と“専門職としての自分”の間で揺れたこともありました。
でも、ひとつ確かに感じたのは――
「親が“なんとなく気になる”と感じたことには、きっと何か意味がある」ということ。
それは「診断が必要」かどうかではなく、
「家庭でどんなふうに関われるか」を考えるきっかけだと思っています。
大切なのは、「できることから始めてみる」こと
気になることがあったとしても、
すぐに専門機関へ…と構えなくていい場合もあります。
むしろ、おうちでできることを、子どもに合った方法で少しずつ取り入れていくこと。
それだけでも、子どもの安心感や発達にとって大きな意味があります。
この記事では…
作業療法士として、そしてパパとして、
「家庭でできる発達支援の考え方」と
実際にわが家でも活用してきた
“取り入れやすい療育教材・グッズ5選”をご紹介します。
「なんとなく不安だけど、どうしたらいいか分からない」
そんなときこそ、最初の一歩にしていただけたら嬉しいです。
おうち支援=“遊び”を通して発達を育てること
「療育」と聞くと、
なんだか専門的で、特別な支援が必要な子だけのもの――そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。
でも実際は、“遊びの中にこそ” 発達を支えるヒントがたくさん詰まっています。
たとえば…
- ブロック遊びで 指先の力や空間認識力 を育てる
- リズム遊びで 体のバランスやタイミング感覚 を整える
- 絵本を通して 言葉の理解ややりとりの力 を伸ばす
どれも“特別なこと”ではなく、ふだんのおうち時間の中にある遊びばかりです。
「遊び=トレーニング」ではなく、「遊び=発達の栄養」
発達支援の現場でも、「できるようにするための練習」ではなく、
“楽しんで取り組むうちに、自然と力が育つ”という視点がとても大切にされています。
だからこそ、おうちでの関わりでも
「〇〇できるようにしなきゃ」ではなく、
「一緒に楽しみながら、その子の“育ち”を支える」ことがポイント。
そこで今回は、作業療法士パパの視点から
“遊びの延長で取り入れられるおすすめの教材・グッズ”を5つご紹介します。
作業療法士パパが選んだ|おうち療育におすすめの教材・グッズ5選
1.感覚統合あそびキット(家庭用)
【内容例】ブランコ・トンネル・バランスボード など
発達へのアプローチ:
前庭感覚(バランスや傾きの感覚)や固有感覚(体の動き・力加減)を遊びながら育てられます。
おすすめ理由:
落ち着きがない/姿勢が安定しにくい子に◎。おうちの中で“からだの感覚”を育てる第一歩に。
ポイント:
- スモールスペース向けのキットも増えており、賃貸でも導入しやすい
- お子さんの「好きな動き」を観察することで、感覚の傾向も見えてくる
2.知育玩具のサブスク(例:Cha Cha Cha、トイサブ)
発達へのアプローチ:
年齢や発達段階に合わせて選ばれたおもちゃで、手先・身体感覚・集中力・言葉などをバランスよく刺激。
おすすめ理由:
「どんなおもちゃが発達に合っているかわからない…」という親御さんにぴったり。プロの視点でセレクトされたおもちゃを試しながら、わが子の“好き”や“伸びる力”を見つけることができます。
ポイント:
- 気に入ったおもちゃはそのまま購入もOK
- “今の時期に合った遊び”が自然に回ってくるのが嬉しい
3.療育系ワークブック(手先・運筆・言葉)
【内容例】なぞり書き、点つなぎ、形合わせ、ことばあそびなど
発達へのアプローチ:
視覚・空間認知・手先の器用さ・集中力を遊び感覚で育てられる。
おすすめ理由:
“机に向かうのが苦手”なお子さんでも、遊びの延長として取り入れやすい。毎日5分でも積み重ねることで、「できた!」という成功体験が育ちます。
ポイント:
- 絵柄やテーマに「子どもが興味を持てるもの」を選ぶと◎
- スモールステップで取り組める教材がベター(いきなり難しいのはNG)
4.発達支援つき絵本定期便(例:絵本クラブなど)
発達へのアプローチ:
言葉の理解・感情表現・やりとり・ストーリーの理解と想像力など、“コミュニケーション”にまつわる力を育てる。
おすすめ理由:
「どんな絵本を選んだらいいかわからない」
「つい毎回同じ本になってしまう」――そんな悩みを解消してくれるサービス。
子どもの発達段階に合わせてプロが選んだ絵本が届くので、安心して“ことばの世界”に触れる時間がつくれます。
ポイント:
- 読み聞かせだけでなく、“一緒にページをめくる”だけでも効果あり
- 絵本の中の言葉をまねっこして遊ぶと、言語発達がぐんと育ちます
5.タブレット型知育教材(例:すまいるぜみ・RISUきっず)
発達へのアプローチ:
ことば、数、推理、パズルなど、思考力や言語理解力を楽しく学べる。
画面上での操作も、指先の巧緻性や視覚認知に働きかけます。
おすすめ理由:
紙の教材が苦手な子、飽きやすい子でも“ゲーム感覚”で取り組める。
「自分でやってみようかな」と思える自主性の一歩にも。
ポイント:
- 保護者と一緒に取り組む時間も大切
- 「1人でできた!」という体験は、自信の芽になります
使い方のポイント|大事なのは “できるだけ楽しく”
✔ 子どもが“興味を持ったもの”からスタート
→ 興味は最高のモチベーション。無理に選ばせなくて大丈夫。
✔ 「おしまい」があることで安心する子も多い
→ タイマーや「あと1回で終わろうね」が効果的。
✔ “一緒にやる”ことでコミュニケーションの教材にもなる
→ 「上手にできたね!」だけでなく、「一緒にやれて楽しかったね」も伝えてあげて。
✔ 「やらせる」ではなく、「楽しむ」ことが一番の支援
→ 子どもの表情を見ながら、寄り添っていきましょう。
おわりに|焦らず、わが子のペースで“育ち”を支えよう
発達がゆっくりでも、心配しすぎる必要はありません。
おうちでできる支援は、大きな変化ではなく
「小さな積み重ね」が何よりも大切です。
その積み重ねが
「できた!」「わかった!」という自信になり、
子どもの世界を、少しずつ広げてくれます。
「親にできることは、専門的な指導じゃなくて、“安心して遊べる環境”を用意すること。」
そんな気持ちで、お子さんのペースに寄り添っていきましょう。
あなたのお子さんにぴったりの教材や遊びが、見つかりますように。