
この記事はこんな方におすすめです
- 子どもが髪を洗うのを毎回嫌がって泣いてしまう方
- シャンプーハットや声かけが効かず困っている方
- 感覚過敏・発達特性がある子への配慮を知りたい方
- 家庭でできる工夫を試して、シャンプータイムをラクにしたい方
- 「洗えたかどうか」より、安心してお風呂に入れる関わり方を探している方
はじめに|毎回のシャンプーで泣かれてしまう親御さんへ
「顔に水がかかるとパニックになる」
「泡を流そうとすると大泣き」
「シャンプーハットも試したけど効果がなかった…」
毎日のように繰り返すシャンプーのたびに、子どもが嫌がって泣くと、親もぐったりしてしまいますよね。
でも、実は“髪を洗うのを嫌がる理由”には、ちゃんとした背景があります。
この記事では、作業療法士の視点をもとに、子どもの苦手の理由をひも解きながら、家庭でできる工夫をご紹介します。
髪を洗うのを嫌がる理由は“わがまま”じゃない

感覚の問題(痛い・冷たい・泡のぬめり)
子どもによっては、シャワーの水圧、泡のぬるぬる、温度の変化などが「痛い」「怖い」と感じられることがあります。
特に感覚過敏の傾向がある子は、ちょっとした刺激でも強い不快感につながります。
顔に水がかかる不安やトラウマ
以前、目に水が入った・お湯が熱かったなど、嫌な記憶が強く残っていると、次に同じ体験をするのを本能的に避けてしまいます。
見通しのなさ・終わりが見えない不安
「あとどれくらいで終わるの?」がわからないと、子どもは不安になります。
次に何をされるか予想できないことが、「怖い」「イヤ」に直結するのです。
自分でやりたい・コントロールしたい気持
年齢によっては、「自分でやりたい」「急に触らないでほしい」という気持ちが強く出ます。
それがうまく伝えられず、“拒否”という行動に現れることもあります。
イヤイヤ期や成長段階の特徴
成長の一環として、“自分のペース”を守りたい気持ちが出てくる時期。
イヤイヤ期の真っ最中であれば、何をしても「イヤ!」と言いたくなるのが自然です。
対策①|感覚に寄り添う環境と道具を整える
シャワー→湯おけ+手でかける
シャワーの刺激が強すぎる場合は、手でやさしくお湯をかけるだけでもだいぶ違います。
桶からすくったお湯を後ろから静かに流すスタイルにすると、子どもがリラックスしやすくなります。
シャンプーハットのメリット・デメリット
【メリット】顔に水がかかりにくくなる/泡が目に入らない
【デメリット】頭に圧迫感がある/装着を嫌がる子も多い
→合う子には有効ですが、「無理に使うと逆効果」なケースもあるため、子どもに合った使い方が必要です。
泡立たないソープや低刺激製品の活用
泡が苦手な子や肌が敏感な子には、泡立ちが少ないシャンプーや敏感肌用の低刺激製品がおすすめです。
ぬめりや匂いが少ないものも有効です。
洗い方を変える(手のひら/後ろからそっと)
頭のてっぺんから一気にかけるのではなく、後頭部→首元の順でゆっくりと洗うことで安心感を与えられます。
対策②|“予測”と“見通し”で安心をつくる工夫
「あと3回でおしまいね」などカウント支援
数を数えることで、「終わりがある」と分かる安心感を与えられます。
5回、3回、1回…のようにカウントダウンする方法も有効です。
鏡や動画で“今の状態”を見える化
子ども自身が鏡で髪や泡の状態を見ることで、「今、こうなってるんだ」と理解しやすくなります。
不安を和らげる“見える化”の一つです。
「おふろポスター」やスケジュールカードの活用
洗う順番を示したイラストやスケジュールを貼っておくと、“先が見える”ことが安心に繋がります。
対策③|楽しいルーティンで“入れる”に変えていく
歌やごっこ遊びを入れる
「しゃんぷーのうた」「あわあわパーティー」など、楽しい時間として再定義できるように演出してみましょう。
スタンプカードやシールごほうび
「今日は上手に泡を流せたね!」→シールを貼る。
その積み重ねが子どもにとっての達成感になります。
自分でできた!を育てる声かけ
「自分でお湯かけられたね」
「今日は泣かずにできたよ」
→子ども自身の“できた”に気づかせてあげる言葉がけを意識しましょう。
【比較表】おすすめのサポートアイテム
アイテム | 特徴 | 向いている子 | 注意点 |
---|---|---|---|
シャンプーハット | 顔に水がかかりにくい | 顔に水が苦手な子 | 装着を嫌がる場合もある |
湯おけ+手流し | 刺激が少ない | シャワーが怖い子 | 時間がかかることもある |
泡なしシャンプー | 刺激・ぬめりが少ない | 感覚過敏が強い子 | 洗い残しに注意が必要 |
ごほうびシール | モチベーションUP | 行動が安定しづらい子 | 過度な依存に注意 |
わが家の体験談|「泣かなくなった日」ではなく「嫌じゃなかった日」を大切に
うちの子も、2歳半から毎晩のシャンプーで泣き叫ぶ時期がありました。
シャワーの音でパニック、泡が目に入るとヒステリー。
でも、「今日は自分でお湯をかけてみる?」と声をかけて、少しずつ“できた”を増やしていった結果、
3歳を過ぎる頃には、「今日はあわあわパーティーの日だね」と笑って言えるように。
一気に克服するのではなく、「今日は少しだけできた」を積み重ねることが本当に大切だと実感しています。
よくある質問(Q&A)
Q. シャンプーハットが効かないのはなぜ?
頭に触れる感覚が不快な子もいます。
また、かえって「変な道具をつけられた」と感じて余計に嫌がる場合も。無理に使わず、子どもに合う方法を探しましょう。
Q. イヤイヤ期が終われば自然に慣れますか?
落ち着く子もいますが、「イヤだった記憶」が残ると年齢が上がっても苦手なままなことも。
“安心できた経験”を少しずつ積む支援が重要です。
Q. 無理に洗うべきですか?
清潔は大事ですが、無理やり洗うと“トラウマ”になるリスクも。
代替として“拭くだけ”や“日を分けて洗う”など柔軟に対応しましょう。
まとめ|“髪を洗えたか”より“安心できたか”を大切に
子どもが髪を洗うのを嫌がるのは、“理由があるサイン”です。
無理にやらせるより、「なにがつらいのか」「どうすれば安心できるか」に寄り添っていくことが、
結果的に「できる」に変わっていく近道になります。
今日できた一歩を、ぜひ一緒によろこんであげてくださいね。
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子どもが日常のケアを嫌がるのには、ちゃんと理由があります。
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各記事では、作業療法士の視点から“できない”に寄り添うヒントを紹介しています。
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