「ママがいないとムリ」「知らない場所は行きたくない」には理由がある
- 初めての公園では動かず様子をうかがっている
- 遊具に近づけない、音や人の多さにびくびくしている
- 「こわい」「やらない」が口癖になっている
「怖がりすぎ?」「過保護にしすぎたかな?」と感じることもあるかもしれません。
でも、“不安”は「挑戦したくない」気持ちではなく、「安心がまだ足りない」サインです。
この記事では、作業療法士パパの視点から、不安が強い子に向けて、外遊びの中で“安心から挑戦”につなげていく関わり方を紹介します。
不安が強い子に見られる特徴とは?
- 感覚に敏感で、音・人・景色の変化が怖く感じやすい
- 過去の「びっくりした」体験が強く残っている
- 予測できないことに対して「不安=やらない」で対応してしまう
「挑戦しない」のではなく、「安全が確保されていない」と感じている状態なんです。
外遊びが“安心の積み重ね”になる理由
- 自分のタイミング・距離・関わりを自由に選べる
- 「やめたい」「戻りたい」が自然に許される空間
- 身体を動かすことで感覚が落ち着き、心もゆるむ
外遊びは「そばに戻れる」「逃げ場がある」からこそ、挑戦が可能になります。
OTパパおすすめ|安心感を育てる外遊び5選
「怖がりでなかなか外に出られない」
「遊具の前で固まって動けない」
そんな不安が強い子にとって、外遊びは“がんばる場”ではなく、“安心できる体験”が大切です。
今回は、作業療法士パパの視点から、“安心”を育てる外遊びの関わり方を5つご紹介します。
小さな自信の積み重ねが、やがて「やってみようかな」という気持ちにつながっていきます。
1.“見ているだけ”もOKの遊び(虫探し・木の実拾いなど)
外遊びといえば、「走る・登る・動く」ものをイメージしがちですが、“見るだけの参加”も立派な体験です。
たとえば虫探しや木の実集めなら、距離をとりながら「そばにいる」ことができます。
やらなくてもOK、見ているだけでもOKという選択肢があることで、子どもの心は安心を感じやすくなります。
「どうする?」と聞かれる前に、「今日はそばで一緒に見ようね」と提案するだけで、“関わる準備”が整っていきます。
育つ力: 主体性・他者との共存・安心感の定着
2.“手をつなぐ”だけの挑戦(すべり台・橋など)
滑り台や吊り橋、少し高いステップなど、挑戦が必要な遊具はたくさんあります。
でも、全部を“ひとりで”やる必要はありません。
たとえば「手をつなぎながら登ってみようか」と提案するだけで、子どもにとっては“大きな一歩”になります。
親の手につながれているというだけで、身体の不安・感覚の不安・心の不安が和らぐんです。
「今日は手をつないで登れたね」そんな経験が、次の挑戦の土台になります。
育つ力: 感覚統合・挑戦の土台・信頼関係
3.「ここまで行けたね!」と一緒に確認する体験
「今日はあの木のところまで行けたね」
「公園の入口まで来られたね」
そんなふうに、“できたこと”を目で見て共有する時間を持つと、子ども自身の中に“自信の記憶”が刻まれていきます。
外遊びでは、毎回全部できなくても大丈夫。
「ここまで来たね」「歩けたね」と振り返ることで、「自分ってできたんだ」という自己効力感が育ちます。
次に来たとき、「またあそこまで行けるかな」という見通しや期待感も生まれます。
育つ力: 成功体験の定着・自己効力感・見通し
4.自分で選ばせる(どの遊具?やる or 見る?)
「これはやって」「これはダメ」と大人が先に決めると、子どもは“コントロールされている感覚”を持ちやすくなります。
そこで意識したいのが、「どれにする?」「やってみる?見るだけにする?」という“選ぶ機会”を渡すこと。
選ぶこと自体が「自分で決めた」という実感になり、安心感や自信を生み出す鍵になります。
とくに不安が強い子は、「やる」「やらない」よりも、「自分で選べた」ことで満足感を得られることが多いのです。
育つ力: 主体性・判断力・感情の調整
5.帰る前に「今日できたこと」を一緒に話す
外遊びが終わる前に、その日できたことを言葉にして振り返る時間を持ちましょう。
「今日はブランコに近づけたね」
「お友達の後ろで見ていられたね」
など、小さな一歩を具体的に認めてあげることがポイントです。
この体験を毎回積み重ねていくと、「安心してやってみた→できた」というポジティブな記憶の上書きが進んでいきます。
次回の挑戦にもつながる、心の“足がかり”になります。
育つ力: 自己肯定感・記憶の上書き・挑戦の積み重ね
声かけ・関わり方の工夫|「怖いね」→「でも一緒にやってみる?」
不安が強い子にとって、何より大切なのは「安心できる大人の存在」です。
無理に「がんばって」と背中を押すのではなく、次のような声かけが効果的です。
- 「やらなくていいよ」→まず選択を尊重する
- 「そばにいるよ」「怖くなったら戻っておいで」→逃げ場のある関わりをつくる
- 「今、ここまでできたね!」→結果ではなくプロセスをしっかり認める
不安が強い子にとっては、「安心」が何よりの発達支援です。
まとめ|“安心できた”記憶が「やってみたい」を支える
不安が強い子は、
「できない」のではなく「安心できないだけ」かもしれません。
- 失敗が怖いのではなく、「自分を守れる感覚」がまだ育っていない
- 外遊びは、安心・選択・余白のある環境だからこそ、挑戦の準備が整っていきます
「今日はそばで見てた」→「明日は少しやってみるかも」
この積み重ねこそが、子どもの自信になっていきます。
大切なのは、“何ができたか”よりも、“どう感じたか”。
安心の中で積み重ねた一歩一歩が、未来の「できた!」を支えてくれるのです。
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