手指を育てる遊び5選|書く前の力を家庭で整える支援ヒント

tamutamu

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「書くのが苦手そう」「手先が不器用かも」と感じたことはありませんか?

  • クレヨンを持ってもすぐに落としてしまう/折ってしまう
  • ハサミやお箸がうまく使えない
  • ぬりえや工作を嫌がる
  • 書くことに対して苦手意識が強い

こんな場面に出くわすと、「このまま小学校で困らないかな…?」と不安になりますよね。

でも大丈夫。これらは“書く準備がまだ整っていない”というサインであることが多いんです。

作業療法士として、現場で多くの子どもたちと関わる中で
「姿勢・手指の力・体の安定」など“書く前の土台”が整えば、ぐんと書くことが楽になる子をたくさん見てきました。

今回は、そんな“書く力の準備”を育てる遊びをご紹介します。


書く前に必要な“3つの土台”とは?

1.手指の分離と協調性

文字を書くには、親指・人差し指・中指で細かく動かす力が必要です。
一方、薬指と小指は安定を保つ役割。

この「動かす指」と「支える指」をうまく分けて使えないと、

  • 鉛筆をすぐに落とす
  • 筆圧が弱くて薄くなる
  • 持ち替えが難しい

…といった“書きにくさ”につながります。

2.手首や肘の安定性

実は、指先だけで字を書くことはできません。
手首や肘が安定しているからこそ、指先が自由に動かせるのです。

手首が不安定だと、力が逃げてしまい、狙った線が引きづらくなります。

3.体幹・姿勢保持の力

姿勢が崩れてしまうと、そもそも机に向かうこと自体がしんどくなります。
「しっかり座る→体を支える→手を使う」という流れが大切。

座ってもフラフラしていたり、椅子に長く座っていられない子は、まずこの“体幹”を整えることが優先です。


家庭でできる手指を育てる遊び5選

1.洗濯ばさみ遊び|つまむ力と指の分離に

洗濯ばさみをつまんで開く→物に挟むという動作は、指の分離や力加減の練習に最適

  • 紙コップに並べて飾りつけ
  • 動物に“たてがみ”をつけるようにデコレーション
  • 色の指定をして「赤だけにしてみよう」などルールも追加可能

💡 コツ:小さな子には柔らかめの洗濯ばさみを使うとやりやすいです。


2.はさみ遊び|線に沿って動かす力を育てる

「はさみを使う」には、実は高度なスキルが必要です。

  • 指をバラバラに動かす「分離」
  • 見た線に合わせて動かす「協調性」
  • 手首の動きをコントロールする「回内外」

まずは折り紙や広告紙を自由に切るところからスタート。
慣れてきたら:

  • 波線やギザギザ線のカット
  • 切ったパーツで貼り絵にする

…など「作る楽しさ」にも発展できます。


3.粘土・こねこね遊び|力加減と指先の感覚を育てる

粘土はまさに万能の感覚遊び

  • 丸める、伸ばす、ちぎる、型抜き、押しつぶす
  • ごっこ遊び(パン屋さん・おにぎり屋さん)にも展開しやすい
  • 道具(ストロー・キャップなど)を使えば手指の使い方も多様に

💡 コツ:力の加減が苦手な子にもおすすめ。力を入れても怒られない=安心感につながります。


4.ひも通し・ビーズ遊び|目と手の協調を育てる

「見る」→「狙って手を動かす」=目と手の協調運動を鍛えるには最適な遊び。

  • 最初は大きな穴あきスポンジや太いモールから
  • 慣れてきたら細いビーズ、毛糸などにステップアップ
  • 指先の集中力が必要なので、落ち着きづらい子にも効果あり

💡 完成後の達成感もあるため、「できた!」という自信につながります。


5.お箸・ピンセット遊び|細かくつまむ操作の練習に

鉛筆と同じような指の使い方をするお箸・ピンセットは、“遊びの中で”取り入れるのが効果的。

  • 小さなおはじき・スポンジ・ポンポンを容器に移す
  • 色や形で仕分け遊びにしてもOK
  • 指先で“つまむ力”が育つ

💡 コツ:すべりにくい素材(シリコン製・太めのトング)から始めるのがおすすめ。


遊びのコツ|「完成」より「できたこと」に目を向ける

手先の発達において、もっとも大切なのは「できた!」という小さな成功体験

  • うまくできなくても「やってみたね!」と声をかけてあげる
  • 毎日じゃなくてOK、週末の5〜10分でも続ければ変わります
  • 親も一緒にやって見せることで安心感UP

💡 「書けるようにする」より、「書くことが怖くない」状態をつくるのが最初の一歩。


まとめ|“書けない”の前に、“書ける手”を育てよう

「書くことが苦手そう…」
その背景には、“まだ準備が整っていないだけ”というケースがたくさんあります。

大切なのは、焦らず、楽しく、遊びの中で自然に手の力を育てていくこと。
小さなステップの積み重ねが、やがて「書けた!」の土台になります。


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