「言いたいことが言えない」もどかしさ、感じていませんか?
- ことばがなかなか出てこない
- 単語だけで、会話が続かない
- 自分の気持ちを伝えられず、癇癪を起こすことがある
- お友達とのやりとりがうまくいかない
こうした“伝えたいのに伝わらない”場面が続くと、子ども自身もつらくなり、自信をなくしてしまうこともあります。
でも、無理に「話させよう」とする必要はありません。
むしろ、“ことばが出やすくなる土台”をつくることの方が大切です。
そんなときに役立つのが、ごっこ遊び。
作業療法士として、そして子育て中のパパとして、
「ことばが出づらい子にこそ、ごっこ遊びは自然な“ことばの練習”になる」と実感しています。
なぜ“ごっこ遊び”がことばを育てるの?
- 自分以外の役になりきることで、「伝える」「応える」体験が生まれる
→普段は言いづらいことも、役になれば自然に出せることがあります。 - “遊び”の中なので、失敗しても怒られない=安心して試せる
→間違っても笑える、楽しい、だから何度も挑戦できる。 - 擬音・オノマトペ・定型フレーズが多く、ことばのとっかかりになりやすい
→「ニャンニャン」「ごはんですよ〜」など、口にしやすい言葉が満載。 - やりとりがパターン化していて、“通じた成功体験”が積みやすい
→「ありがとう」「またね」などのやりとりで、通じる楽しさが実感できる。
ごっこ遊びの支援ポイント
- 子ども主導で展開できるテーマを選ぶ(例:日常・好きなモノ)
→好きなキャラ・よく知っているシーンほど、安心して言葉が出やすくなります。 - 道具がなくてもOK!ぬいぐるみ・おもちゃで十分
→「何が必要か」より「何を演じたいか」に注目して。 - 話せなくても「動作だけで伝える」→親がことばを添えて“翻訳”する
→「あ、○○してくれるの?ありがとう」など、動きを言葉にして返すだけで学びになります。 - 親も「役になりきる」ことで、子どもが安心してマネしやすくなる
→恥ずかしがらず、思いきって“役者”になってみてください。
ことばの支援におすすめのごっこ遊び5選
1.お店屋さんごっこ(食べ物・文具など)
- 「いらっしゃいませ〜」「どれにしますか?」など定番フレーズが学べる
- 指差しや物の受け渡しでも十分コミュニケーションになる
- 「ありがとう」「またきてね」など、終わりのことばも自然に習得
📌 ポイント:会話が難しい場合は、おもちゃを“差し出す”だけでもOK。
親が「これくださいってことかな?」とことばにして返すだけで十分です。
2.お医者さんごっこ(ぬいぐるみや親を診察)
- 「どうしましたか?」「ここが痛いです」など感情表現の練習になる
- 空気の注射や手で触るだけでもごっこ遊びになる
- 声が出づらくても「うーん」「あー」と声で感情を出すことから始められる
📌 ポイント:「ぬいぐるみがケガしちゃったみたい!」と親がストーリーをつくってあげると、自然と子どもも参加しやすくなります。
3.おうちごっこ・赤ちゃんごっこ
- 日常生活の模倣がしやすく、安心して遊べる
- 「ごはんつくるね」「おふろにするよ」など使えることばが多い
- パパ・ママの真似を通じて、自然なことばのインプット&アウトプット
📌 ポイント:ぬいぐるみのお世話を通じて、「〇〇してあげようか?」などの“優しい言葉”が増える子もいます。
4.ペットごっこ・動物園ごっこ
- 「ワンワン」「にゃー」など擬音だけでも参加できる
- 表情や動作での表現が多く、“非言語のやりとり”が楽しい
- 指示理解や模倣にもつながる(「おすわり」「ごはんだよ〜」)
📌 ポイント:まずは親が動物役に!「にゃ〜お、さかなください♪」など、ことば遊びを交えて楽しく広げましょう。
5.宅配便ごっこ・郵便やさんごっこ
- 「ピンポーン」「おとどけでーす」など短いフレーズで成立
- “届ける”動作があることで、動きが加わって飽きにくい
- 紙袋や封筒を使って、ごっこ遊びがどんどん広がる
📌 ポイント:届いたものを開ける“リアクション遊び”も効果的。「あ、プレゼントだー!」など感情表現にもつながります。
ごっこ遊びが広がらないときは?
- 子どもが興味ある物・キャラを題材にする
→電車好きなら「駅員さんごっこ」、恐竜好きなら「恐竜の病院ごっこ」など。 - 遊びが単調でもOK!
→同じセリフ・やりとりの繰り返しが、安心と学びにつながります。 - 親が「お客さん役」になるとことばが出やすい
→主導権を子どもに持たせると、自信につながることも。 - 終わり方が難しい場合は、“終了の合図”をあらかじめ決めておく
→「タイマーが鳴ったらおしまいね」「あと1回で終わろうね」と約束しておくと、トラブル予防に◎
まとめ|“ことばが育つごっこ遊び”は、楽しいが一番!
ごっこ遊びは、特別な道具や教材がなくても始められる、ことばの宝箱のような遊びです。
ことばが出づらいお子さんにとって、
「言わなきゃダメ」ではなく、「言ってもいい」と思える空気が何よりの支援。
今日の遊びの中で、1つでもことばが出てきたら大成功。
焦らず、楽しく、一緒にことばの芽を育てていきましょう。
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