「遊びたいけど、外がつらそう…」と感じたら
- 外に出るのを嫌がる
- 帽子や靴、服の素材を極端に嫌がる
- 風や音、日差しに敏感で泣き出してしまう
「もしかして感覚が過敏なのかも…?」と不安になることはありませんか?
でも、過敏さがあるからといって、外遊びをあきらめる必要はありません。
大切なのは、“苦手を避ける”よりも、“付き合い方を工夫していく”ことです。
この記事では、作業療法士パパの視点から、感覚が過敏な子が少しずつ外遊びを楽しめるようになる工夫や声かけをご紹介します。
感覚過敏ってどういう状態?
感覚過敏とは、五感のうちのいずれか、または複数の刺激に対して過敏に反応する状態です。
- 触覚過敏:服のタグ・帽子・泥・水などを嫌がる
- 聴覚過敏:大きな音・騒がしさに驚いたり、耳をふさいだりする
- 視覚過敏:まぶしさ・チカチカした光に不快を示す
- 前庭覚過敏:揺れ・回転・高いところに強い怖さを感じる
外の環境は刺激が多いため、過敏な子には“しんどい場所”になりやすいのです。
外遊びが“心地よさ”につながる可能性もある理由
とはいえ、外遊びがすべてNGなわけではありません。
- 自然の中には、優しくて心地よい刺激もたくさんある(風・葉音・光と影)
- 好きな感覚(ぬくもり・水・揺れ)に出会えれば、“安心できる体験”になる
- 無理なく参加できる範囲での外遊びは、「自分から動けた」という自信にもつながる
大事なのは、“その子にとって心地よい外遊び”を見つけることです。
作業療法士パパおすすめ|安心を育てる外遊び5選
発達がゆっくりなお子さんや、感覚に敏感なお子さんにとって、「外遊び」は単なる気分転換ではありません。
五感を刺激しながら、心と体の土台を育てる大切な時間です。
ただ、「公園に行っても固まっちゃう」「すぐに帰りたがる」という声もよく聞きます。
ここでは、作業療法士としての経験と、わが子との関わりから実感した「安心を育てる外遊び」のポイントをご紹介します。
1.観察だけでもOKの場所でのんびり過ごす
無理に遊ばせようとせず、「見るだけ」の時間からスタートしてみましょう。
- ベンチに座って、公園の様子を一緒に眺める
- 木陰や公園のすみっこで、おやつを食べながら「観察タイム」
- 「あの子、シャボン玉してるね」「犬が歩いてるよ」など、静かに実況
効果: 刺激との距離感を自分で調整できる体験に
視覚・聴覚の“慣れ”の第一歩となり、安心の土台ができます。
2.足裏・手先から楽しむ自然の感触
「触る」「感じる」といったシンプルな体験も、外遊びの大切なステップです。
- 裸足で芝生を歩いてみる(苦手な子は靴下のままでもOK)
- 葉っぱを手渡して「カサカサって音するね」
- 砂利道で小石を拾いながら、「これは丸いね」「ちょっと冷たいね」
効果: 触覚過敏の緩和につながるほか、感覚の幅を広げるきっかけに。
「ちょっと気持ちよかった」体験が、次のチャレンジにつながります。
3.水あそび・ぬるま湯バケツあそび
水の心地よさは、多くの子どもにとって安心につながる感覚のひとつです。
- バケツにぬるま湯を張って、手だけ入れてみる
- スポイトや小さなカップで水をすくって遊ぶ
- 無理にびしょびしょにならず、“触れるだけ”でもOK
効果: 手先の感覚が安定し、リラックス効果も期待できます。
とくに五感が敏感な子にとって、水の心地よさは“安心できる感覚”になることも。
4.音が少ない・広い場所を選ぶ
感覚が敏感な子は、「公園がうるさい」と感じてしまうことも。
- 朝の早い時間や、夕方前の人が少ない時間帯を選ぶ
- 広くて見通しの良い場所(芝生広場など)で安心感アップ
- 鳥の声や風の音といった“自然音”を一緒に聞いてみる
効果: 聴覚刺激が和らぎ、安心できる空間で「外遊びって気持ちいいかも」と思える体験に。
静かな環境の中で、小さな成功体験を積むことが大切です。
5.親と一緒に“スキンシップ”をベースにした遊び
外の世界に出るのが不安な子ほど、「信頼できる人との身体接触」が安心感になります。
- 手をつなぎながら歩く
- 抱っこでブランコに乗ってみる
- 肩車や、おんぶで「高いね〜!」と景色を楽しむ
- 背中をやさしくトントンしながら「がんばってるね」と声かけ
効果: 身体的なつながりから、安心感と外の世界への信頼を少しずつ育てることができます。
スキンシップは“心のバリア”をやさしく緩める大切な方法です。
声かけ・関わりの工夫|安心をことばと行動で伝える
外遊びの前後や途中で、どんな声かけをするかも大切なポイントです。
- 「無理しなくていいよ。ちょっとだけやってみようか」
- 「今日は見るだけでもOKだよ」
- 「この風、気持ちいいね」→感覚を一緒に共有
- 「手だけでいいよ。足はまた今度にしようか」
大切なのは、「やらせる」のではなく、「大丈夫と思える余白をつくること」。
子どもが「ちょっとならできるかも」と思える関わりを、ことばと行動でサポートしましょう。
最後に|“できた”より“心地よかった”を大切に
外遊びの目的は、「できることを増やすこと」ではなく、
「その子のペースで外の世界とつながること」だと私は思います。
できることが増えなくても、
「今日は気持ちよく過ごせた」「ちょっと笑顔が見られた」
そんな一歩一歩が、将来の“安心の基盤”になります。
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