「落ち着きがない」「すぐ気がそれる」子どもに外遊びでできること|“注意力”と“集中の土台”を育てる関わり方

tamutamu

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「中でじっとできない子」に悩んだときに見直したい視点


「じっとしていられない=問題」ではないかもしれない

おもちゃで遊んでいてもすぐに他のことに目がいく。
絵本を読んでいても、すぐに立ち歩いてしまう。
食事中もじっと座っていられず、イスの上でくねくね動いたり、何度も立ち上がったり。

こうした行動を見ると、
「集中力がないのかな?」「落ち着きがない子なのかも…」と
不安になったり、ついイライラしてしまうこと、ありませんか?

でも、少し立ち止まって考えてみてください。


集中力は「教えて身につく」ものではなく、「育つ環境と経験」がカギ

実は子どもの集中力や注意力は、生まれつき備わっているものではありません。
脳や感覚の発達とともに、少しずつ“経験の積み重ね”の中で育っていくものです。

特に未就学児にとっては、

  • 自分の体を思い通りにコントロールできるようになること
  • 感覚が安定して心が落ち着いていること
  • 興味をもって「やってみたい」と思えること

こうした**“集中するための土台”**が整っているかどうかが、とても重要です。


集中力の前にある「注意力の発達段階」を知ろう

「注意力」と一口にいっても、実はいくつかの種類があります。

種類意味
持続的注意ひとつのことに意識を向け続ける力(集中)
選択的注意必要な情報だけに集中し、他を無視する力
注意の転換他のことに意識をスムーズに切り替える力
分配的注意複数のことを同時に処理する力

幼児期はこの中でも、「持続」「選択」「転換」の基礎が育っていく時期。
これらはすべて、感覚の安定・身体の発達・好奇心との連動によって伸びていきます。


外遊びが集中力の“土台”を育てる理由

では、どうして外遊びが良いのでしょうか?

🟢 理由①:五感がフルに働き、脳の各エリアが活性化する
→ 見る・聞く・触れる・動く・感じる…感覚が同時に刺激されることで、脳全体のネットワークが育ちます。

🟢 理由②:体を動かすことで感覚の整理がしやすくなる
→ 体を動かすことで、過敏になっていた感覚が和らぎ、逆に鈍感だった感覚も目覚めやすくなります。

🟢 理由③:自然には“余白”があり、集中しやすい
→ 室内のような刺激過多ではなく、自然の中には“間”や“静けさ”があるため、集中が続きやすい環境です。

🟢 理由④:達成体験を繰り返すことで「もっとやってみたい」が生まれる
→ 小さな成功の積み重ねが、「自分はできる」という自己効力感につながります。


OTパパがすすめる“集中の土台”を育てる外遊び5選(解説つき)


1.小さなもの探しあそび

例:「白い石を3つ見つけよう」「赤い葉っぱはどこかな?」

🔸 育つ力: 選択的注意・視覚集中・好奇心の持続
🔸 ポイント:
・目的が明確だと、集中しやすくなる
・終わりがあることで“やりきった”達成感を感じられる


2.感覚あそび(水・砂・泥・葉っぱなど)

触る・すくう・流す・つぶす…五感で感じる遊び

🔸 育つ力: 感覚統合・集中の持続・感情の安定
🔸 ポイント:
・「手触りが心地いい」だけで脳は集中状態に
・感覚が安定すると、落ち着きやすくなる


3.じっくりチャレンジ系あそび

例:石積み、紙飛行機を遠くまで飛ばす、葉っぱのボート作り

🔸 育つ力: 問題解決・集中の持続・手先と体の連動
🔸 ポイント:
・何度も試して、失敗と成功を繰り返す中で集中が深まる
・達成感が次の意欲に


4.スタートとゴールのある運動

例:ケンケンパ、ジャンプレース、障害物ごっこ

🔸 育つ力: 注意の持続・目標意識・達成の成功体験
🔸 ポイント:
・「最後までやりきる」経験が自信になる
・短時間でも“やり遂げた感覚”が心に残る


5.まねっこあそび(ジャンプ・動物歩き・リズム遊び)

親の動きを見て真似することで集中スイッチがオンに

🔸 育つ力: 注意の転換・模倣・遊びの中での集中切り替え
🔸 ポイント:
・「遊び」と「学び」がつながる瞬間
・親子で笑い合いながら取り組めるのも魅力


声かけの工夫|「集中して!」よりも“区切ってあげる”が効果的

❌「集中しなさい!」
→ 抽象的すぎて、子どもにはどうしたらいいかわからない

✅「あと10秒だけ見ててみようか」
✅「ここまでできたら終わりにしよう」
✅「最後の1回、やってみよう!」

子どもが集中できる状態をつくるには、
“明確なゴール”や“小さな区切り”をつくってあげることが効果的です。


おわりに|集中力は“結果”ではなく、“環境と経験”で育つもの

子どもの集中が続かないと、親はつい焦ってしまいますよね。
でも、その前に考えてみてください。

  • 今のその子の発達段階に合った関わりができているか?
  • 興味や意欲を引き出すような遊びを選べているか?
  • 「できた!」を一緒に喜ぶ経験を積めているか?

集中力は、“意識”や“指導”で身につくものではなく、
遊びの中で育まれる“心と体の準備”がベースになります。

外遊びは、そんな集中の土台を育てる絶好のチャンス。

「今はまだじっとできなくても、大丈夫」

そう思って、一緒に遊びの中に飛び込んでみませんか?

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