「お友達と遊べない…」と悩む前に
――人見知りの背景と、外遊びでできること
外ではモジモジ、目も合わせない――そんな姿に不安になる日も
- 公園に行っても、他の子がいると私の後ろに隠れてしまう
- 「一緒にあそぼう?」と声をかけられても、固まって動けない
- 家では元気なのに、外ではモジモジ…目も合わせず、言葉も出ない
そんなわが子の様子を見て、「大丈夫かな」「社交性が育っていないのかも…」と不安になること、ありますよね。
私自身、作業療法士でありながら、パパとして何度も同じ気持ちになったことがあります。
でも、「人見知り」は決して“悪いこと”ではありません
人見知りは、“今の自分を守るための自然な反応”。
決して、「性格に問題がある」わけでも、「親の関わりが悪い」わけでもありません。
人見知りの背景にあるのは、“不安”と“防衛”
子どもが人見知りする理由は、一つではありません。
🟢 感覚的な不安
→ 初めての場所・音・人の多さなど、五感への刺激が強すぎると不安になります。
🟢 予測できないやりとりへの緊張
→ 「この人はどんなことを言うの?」「何をすればいいの?」が分からず、固まってしまうことも。
🟢 慎重な気質
→ 物事をじっくり観察してから動き出すタイプの子もいます。
こうした背景がある中で、「早く関わらせなきゃ」と焦ってしまうと、
かえって子どもの“心の準備”が追いつかなくなってしまうことも。
まずは、「関わらなくても安心できる」環境を整えることから
子どもは、安心できる環境の中でこそ、「ちょっとやってみようかな」という気持ちが芽生えていきます。
外遊びには、そんな“安心しながら関われるきっかけ”がたくさん詰まっています。
外遊びが人見知りの子の“関わる力”を育てる理由
🔸 「関わらなくてもOK」の余白がある
→ 見ているだけでもいい、参加しなくてもいいという“安心の自由”があります。
🔸 他の子との距離を自分で選べる
→ 「ちょっと見ていたい」「少し近づきたい」など、本人のペースで関われるのが外遊びの良さ。
🔸 自然の中には、静かで心が整いやすい要素が多い
→ 光や風、木のざわめきなど、感覚的に安心できる空間が広がっています。
🔸 親との関係が土台になる
→ 安心できる大人がそばにいることで、世界を広げる“基地”ができるのです。
作業療法士パパがすすめる「関わりたい気持ち」を育てる外遊び5選
1.観察型あそび(虫探し・雲を見る・葉っぱ拾いなど)
🔹 ねらい: 注意の広がり/他者への興味の芽生え
🔹 ポイント:
- 他の子との距離を保ちつつ、自分の安心できるペースで遊べる
- 「あの子も虫探してるね」など、自然な視線共有から関わりが芽生えることも
2.親子での並行遊び(石並べ・お絵かき・水たまりジャンプ)
🔹 ねらい: 模倣・モデリング・関わりのイメージ形成
🔹 ポイント:
- 一見「親とだけ遊んでいる」ようで、実は周囲の子どもをしっかり観察している
- 他の子の真似をしてみたくなる=「やってみたい」のサイン
3.共通の道具を使った間接的な関わり(砂場・シャボン玉など)
🔹 ねらい: 非言語的コミュニケーション/関係構築のきっかけ
🔹 ポイント:
- 一緒に遊ばなくても、「同じものを使っている」だけでつながりが生まれる
- 「貸してもらえた」「近くに座れた」など、小さな成功体験が自信に
4.ごっこあそび(お店屋さん・お医者さん・ヒーローごっこなど)
🔹 ねらい: 状況理解・役割を通した対話・社会的スキルの練習
🔹 ポイント:
- 親とごっこ遊びを重ねておくと、他の子と自然に会話の型が共有できる
- “役になりきる”ことで緊張がやわらぎ、関わりがしやすくなることも
5.逃げ場のある自由あそび(木陰・ベンチ・お気に入りアイテム)
🔹 ねらい: 自己調整・安心感・自信の積み重ね
🔹 ポイント:
- 「疲れたら戻れる場所」があるだけで、子どもは冒険しやすくなる
- マイペースで関われるからこそ、「自分から近づく」経験につながる
声かけの工夫|「がんばってごらん」より、「一緒にやってみようか」
「お友達と遊ばないの?」はプレッシャーになるだけ。
子ども自身も「遊びたいけど、うまくできない」と感じていることがあります。
✅ 「パパも“いらっしゃいませ〜”って言ってみるね」
→ 共感とモデリングがセットになった声かけ
✅ 「このシャボン玉、あの子も使ってたね」
→ 他の子に注意を向ける“観察のきっかけ”に
✅ 「ちょっとだけ、そばに行ってみようか?」
→ 行動への“安心の背中押し”になります
おわりに|関わる力は、“安全基地”の上に育つもの
人見知りのある子にとって、他人と関わることは大きな挑戦。
でも、「見守ってくれる人がいる」「いつでも戻れる」という安心があれば、
子どもは自分のタイミングで、少しずつ世界を広げていけます。
焦らなくて大丈夫。
関わる力は、押しつけではなく、“安心と経験”の中でじわじわと育つもの。
外遊びは、そのための絶好のステージです。
「今日も隠れてたけど、でもちょっとだけ笑ってた」
そんな“変化の芽”に気づけることが、最高のサポートになります。
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