「できない」より「やりたくない」が先に出る子に、どう関わる?

「うちの子、みんなと同じように動けない…」
「高いところが怖い、走るのをすぐやめる」
「運動会が近づくと、お腹が痛いって言う」
そんなとき、親としてどう声をかければいいのか。
どう励ませばいいのか。
作業療法士として、そしてパパとしても、
“運動が苦手な子ども”と向き合う難しさを何度も感じてきました。
この記事では、子どもが外遊びを「楽しめる」ようになるために、
わが家でも実践してきた工夫や声かけのポイントをお伝えします。
運動が苦手な子に見られる特徴とは?
特徴 | 見られやすい行動例 | 発達支援として効果的な遊び例 | おすすめの声かけ |
---|---|---|---|
バランスがとりにくい | すぐ転ぶ、遊具を避ける | クッション渡り 平均台ごっこ 線の上を歩く遊び | 「落ちないようにそーっとね」「あと少しでゴールだよ!」 |
動作のぎこちなさ | ジャンプや走る動きが不自然 | 風船キャッチ ミニハードルジャンプ ステップ台の上り下り | 「どんなジャンプができるかな?」「ゆっくりでいいよ~」 |
恐怖・不安が強い | 高い所やスピードを怖がる、チャレンジを避ける | バスタオルそり ゆるやかなすべり台 保護者と手をつないでのぼる遊び | 「いっしょにやってみようか」「ゆっくりで大丈夫、こわくないよ」 |
自信を失いやすい | 「どうせできない」と諦めがち、挑戦を避ける | シール貼り 紙コップ積み 成功しやすい簡単なチャレンジ遊び | 「できたね!うれしいね」「やってみたことがすごいよ」 |
作業療法士パパがすすめる “子どもの挑戦を応援する3つの関わり方”
1.比べない・責めない・急かさない
子どもが苦手なことに向き合う時、
「どうしてできないの?」「○○ちゃんはできてたよ」
そんな言葉がけは、無意識のうちにプレッシャーになってしまいます。
でも、子どもにとっては「触ってみた」「近づけた」だけでも大きな一歩。
その瞬間を見逃さずに、こんなふうに声をかけてみてください。
「やろうとしたの、パパ見てたよ」
「触れただけでもすごいことだよ」
大人が「できた・できない」で評価してしまうと、子どもは失敗を避けるようになります。
でも、「チャレンジしたこと」や「自分なりのペース」を認めてもらえると、自信と安心につながっていきます。
関わりのコツ
- 他の子との比較ではなく、「昨日よりちょっとできた」「今日はここまでできた」を大切に。
- 小さなステップを一緒に喜び合うことが、次の挑戦への原動力になります。
2.“動きのヒント”をさりげなく伝える
子どもが難しい動きに困っているとき、
「こうやってやるんだよ」と説明で教えるよりも、
「まずは大人がやってみせる」のが効果的です。
たとえば…
- 手をつないで一緒にバランスをとってみる
- 「この足場なら登れそうだよ」と身体の感覚を補う声かけ
- パパが楽しそうにやって見せることで「自分もやってみたい」気持ちを引き出す
言葉だけよりも、「見て・感じて・真似する」ほうが子どもには伝わりやすいのです。
「こうやるとやりやすいよ」より
「パパもこうやってみるね~」の方が、抵抗なく届くことも。
関わりのコツ
- 動きを細かく教えるより、まず“いっしょにやってみる”スタンスで
- 親が「楽しんでる姿」を見せることで、子どもの意欲が自然と引き出されます
3.成功体験を小さく刻む
鉄棒にぶら下がれた、階段を1段のぼれた、ジャンプしてみようとした――
こうした“小さな成功”の積み重ねこそ、子どもの「自信の種」になります。
運動が苦手な子は、「できなかった記憶」が積もりやすく、やる前から諦めてしまいがち。
だからこそ、「できたこと」を本人と一緒に言葉にして、心に残すことが大切です。
「さっきより高くジャンプできたね!」
「鉄棒、触れただけでもすごいよ」
「挑戦した自分、かっこいいなぁ」
関わりのコツ
- 「何ができたか」より「どう頑張ったか」に注目
- うまくいった経験を「成功」として言葉にして残す
外遊びに取り入れやすい運動サポートの工夫
✔ 坂道や斜面でのバランス遊び
→ ゆるやかな斜面を小走りするだけで、体幹や重心移動の練習に。
✔ 低めの遊具や段差からスタート
→ 成功しやすい高さから始めて、「できた!」を増やしていく。
✔ 激しい運動ではなく“静かな動き”から
→ 「おにごっこ」ではなく「忍者歩きゲーム」など、リズム感や体のコントロールが育ちやすい遊びもおすすめ。
✔ レジャーシートで“ごろごろ遊び”
→ 転がる・起き上がる動きは、前庭感覚や固有感覚を自然に刺激してくれます。
声かけひとつで、子どもは前に進める
子ども:「むり…できない」
親:「でも今、やろうとしたよね。パパ、見てたよ」
そんな言葉に、子どもの顔がふっとゆるむ瞬間があります。
“できたかどうか”ではなく、“気持ちを認める”
それが、子どもにとって安心の土台になります。
さいごに
誰かと比べるのではなく、
「その子なりの一歩」を認めること。
それが、
「ちょっとやってみようかな」
という前向きな気持ちにつながっていきます。
作業療法士であるパパとして、
“できるようになること”以上に、
“自信を持って進めること”を大切にしたいと感じています。
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