「なんとなく不器用」「落ち着きがない」は感覚の問題かも?

「うちの子、手先が不器用で…」
「急にパニックになったり、動きすぎて疲れない」
「お友達との関わりがぎこちない」
それ、もしかすると「感覚統合」がうまくいっていないサインかもしれません。
作業療法士として多くの子どもと関わる中で、
「運動」「行動」「関係性」など、あらゆる面で“感覚”の土台が大事だと感じています。
この記事では、専門用語になりがちな「感覚統合」をわかりやすく解説しながら、
家庭でもできる“感覚あそび”のヒントをお届けします。
感覚統合ってなに?
人の体には「視覚・聴覚・触覚・前庭覚・固有受容覚」などさまざまな感覚があります。
それらの情報を“整理・統合”して、スムーズに動いたり反応したりする力が「感覚統合」です。
たとえば…
- 「手でコップをつかむ」には、目・手・力加減の連携が必要
- 「滑り台を登る」のにも、バランス・重力の認識が必要
これらはすべて、感覚をうまく使えているからできることなんです。
感覚統合がうまくいかないとどうなる?
- 不器用に見える(手先・動き方)
- 音や刺激に敏感/鈍感
- 落ち着きがない/動きがぎこちない
- 集団行動が苦手に見えることも
本人も「なんでうまくできないんだろう?」と混乱したり、
周りの大人も「なぜこうなるの?」と戸惑ったりすることが増えてしまいます。
家庭でできる!感覚あそびのヒント5つ
1.手足でさわれる素材にふれる
- 粘土・米・砂・豆・スライムなど
- やわらかい・ざらざら・ぷにぷに…いろんな触感を体験
目的: 触覚刺激に慣れ、感覚を整理する力を育てる
2.ゆらゆら・くるくる体を動かす
- ブランコ・バスタオルそり・回転イスなど
- ごろごろ転がる、体を揺らすなどもOK
目的: 前庭感覚(バランスやスピード感)を育てる
3.押す・引く・のぼる・支える
- 段差のぼり・手押し車・ぬいぐるみを押すなど
- クッション山をよじ登るのもおすすめ
目的: 固有受容覚(筋肉や関節の感覚)を刺激して動きやすく
4.お風呂であそぶ(水・泡・温度)
- シャワー・湯船・泡遊びなどでやさしい刺激
- スポンジを使った感触遊びや、温度の変化を楽しむ
目的: 安心できる場所で、感覚刺激に慣れていく
5.音・光・色・香りを楽しむ
- シャカシャカ楽器、センサリーボトル、光るおもちゃなど
- いい香りのクレヨン、アロマ、色水遊びもOK
目的: 五感を通して、刺激に心地よく反応できる力を育てる
無理に刺激を与えなくてもいい
感覚が敏感な子にとって「強い刺激」は逆効果になることもあります。
- イヤな感覚は無理させない
- 心地よいと感じる刺激から、少しずつ広げていく
が基本です。
大人が「これはいい刺激だから」と押しつけるのではなく、
“子どもの反応を見ながら、一緒に楽しめる形”を見つけていきましょう。
まとめ|感覚の土台が整うと、子どもはもっと動ける・関われる
感覚統合は、目には見えないけれど、
子どもが「思いどおりに動ける」「人と関われる」ために欠かせない土台です。
あそびは、発達支援の入り口。
「楽しめること」から少しずつ広げていくのがいちばん。
まずは気になる遊びから、親子で一緒に楽しんでみてくださいね。
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